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1 von 156
本を救うため
電子書籍に何ができるのか
21世紀の出版をつくる会
2016年4月13日
朝日新聞社デジタル本部
林智彦
1
自己紹介
2
自己紹介
No Bestselling Books
No Bestselling eBooks
No Job Titles
No Outstanding Results
…But,
3
自己紹介
4
Source: Darren Woolley, “Top 50 Marketing Management Posts of 2015: The Marketing Management Book of the Year”
紙の雑誌、CD-ROM、ウェブ
5
紙の雑誌、書籍(新書、選書、文庫)
6
7
8
朝日新聞デジタルSELECT
9
朝日新聞デジタルSELECT
10
booklista
11
SONY
KDDI
TOPPAN
ASAHI
本日のゴール
 出版産業が、いまどんな変化を経験し
ているか、「電子書籍」というレンズ
を通して、より正確に理解する
 その上で、出版が「電子書籍」をどう
使いこなせるのか。今何を考え、何を
すべきなのかを考えてみたい
 キーワードは、「デジタル・ディスラ
プション」と「デジタル・ファース
ト」
12
構成
1. 前置き〜電子書籍とは何か?
2. 出版の現状〜何が課題なのか?
3. 電子書籍のトライアル
4. 変革を阻むもの
5. 何を、どうすべきか
13
1.前置き〜電子書籍とは何か?
21世紀の出版をつくる会
2016/4/15
14
今日、お話ししないこと
15
端 末 、 コ ン テ
ン ツ 、 サ ー ビ
スの紹介
「紙の本は素
晴らしい」
「 ◯ ◯ を 守
れ」
「 ◯ ◯ す べ き 」
「 未 来 は こ う な
る」。借り物の抽
象論とバズワード、
無責任な予言
今日、お話ししたいこと
16
著者 出版社 取次
書店
・図書館
読者
Before
著者? 出版社? 取次?
書店
・図書館?
読者?
After
Digital Disruption
電子書籍とは
「もの」ではなく
「プロセス」または「ムーブメント」である
(「デジタル・ディスラプション」に対応す
るための)
17
デジタル・ディスラプション
18
「第3の産業革命」に乗り遅れるな!
●デジタル・ディスラプションとは?
消費者の欲求を第一に考え、無料のツールを活用・提供
し、シンプルな方法で、迅速に商品・サービス・仕組み
に創造的破壊を起こすこと。次世代の破壊的イノベー
ションとして、大きな潮流となりつつある。
●なぜデジタル・ディスラプションが重要なのか?
従 来のイノベーションの場合、新商品を開発して市場に
送り出すには膨大な資本が必要なため、ごく限られた数
の会社が、ほんのわずかのアイデアを実現するのが やっ
とだった。しかし、デジタル・ディスラプションの時代
は、無料で好きなように使えるデジタル・ツールを駆使
して、どんな会社も、個人も、破壊的なイノ ベーション
を起こせる。「元手がなくても利益を上げられる」時代
が到来しているのだ。この産業構造の激変に乗り遅れて
はいけない!
デジタル・ディスラプター(一般)
19
デジタル・ディスラプター(メディア)
20
メディア・コンバージェンス
21
メディア・コンバージェンス
22
ブリタニカの例
 ブリタニカ大百科辞典 200年の歴史。全
32巻。紙本の価格は1600ドル
 92年 MSエンカルタ 49.95ドル
 年間2000ドルの定期契約→低迷→96年に売
上半減
 年間120ドルの定期契約→失敗→身売り
→110の代理店と300の小売店を放棄→年間
契約85ドルに
23
デジタル・ディスラプション
 Digital Disruption ≠「デジタル破壊」
Disruption: 混乱、中断、遮断、分裂
 Digital disruption is the change that occurs
when new digital technologies and business
models affect the value proposition of
existing goods and services. (Tech Target)
「新しいデジタルテクノロジーやビジネス
モデルが既存の財やサービスの価値命題
(提案)を変化させること」
 価値命題(VP):顧客から見た商品やサー
ビスの価値
24
価値命題
25
デジタル・ディスラプション
26
ケーススタディ:カメラ
27
カメラの教訓
 前世代の「強み」が
「弱み」になる(イ
ノベーションのジレ
ンマ)
 固定観念が悲劇を生
む
 「電子化」はまさに
敗北した写真関連
メーカーがやろうと
したこと
 「銀塩カメラではこ
うだった」→単にや
り方をデジタル化し
ただけ:敗北
28
既存の(アナログ時代の)イノベーション
との違い
 ICT技術の価格下落(ウェブ)→高度なサービスを素
早く立ち上げられる
 ユビキタス・ネット環境とスマートデバイス、ウェ
アラブル(IoT)→ユーザーに身近(消費時間の多さ、
顧客接点の密度)、拡散の早さ
 ソフトウェアベース→アップデート、永遠のベータ
 ネットワーク外部性、ポジティブ・フィードバック
→一人勝ち、先行者利益
 両面(多面)市場
 課金の自由度高、企業通貨(ポイント)
 アテンション・エコノミー
デジタル・ディスラプションという現実に
対して、出版はどう適応できるのか?
この問いに対する答えの一つ
それが「電子書籍」
電子書籍の定義
31
電子書籍:紙のコンテンツを電子化すること、ある
いはしたもの。紙のコンテンツを作るのと同じ方法
論で電子コンテンツを作ること
電子書籍:出版のプロセスを電子化(ウェブ化)す
ること
2.出版の現状〜何が課題なのか
21世紀の出版をつくる会
2016/4/15
32
ある日の親子の会話
33
進撃の巨人が連載
さ れ て い る 雑 誌
買ってきてあげよ
うか?
連載ってな
に?
取次、書店の苦境
34
ところが閉店直前の店に行くと……。
35
TSUTAYAは……。
36
書店といってもひとしなみにダメなわけで
はない
37
米国では書店復活
38
米国では書店復活
39
出版統計
40
しかし、問題が……。
41
しかし、問題が……。
42
しかし、問題が……。
43
しかし、問題が……。
44
しかし、問題が……。
45
しかし、問題が……。
46
しかし、問題が……。
47
雑誌の書籍化?
48
活字離れ?
49
別紙
まとめ
 書店は価値提案を変えることで生き残
れる?
 「お客がいるのに閉店」→原因は「パイ
プのつまり」。「活字離れ」はない
 消費者の生活の変化(デジタルシフ
ト)に適応できていないのではない
か? 読もうと思っても訴求できてい
ないのではないか。
50
3.電子書籍のトライアル
21世紀の出版をつくる会
2016/4/15
51
電子書籍:成長の終わり?
52
電子書籍:成長の終わり?
53
電子書籍:成長の終わり?
54
電子書籍:成長の終わり?
 2008年から10年の間に、1260%
も成長した米国の電子書籍の売り上げが、
近年、急速に鈍化しており(15年の最初
の5か月間の売上は、前年比10%減)、
電子書籍に飛びついた読者が紙本に戻った
り、両方読む「ハイブリッド読者」になっ
ている。10年ごろに盛んに喧伝された
「紙の本は死ぬ」という「デジタル黙示
録」は、少なくとも予想された形では現実
化しなかった(概要)
55
電子書籍:成長の終わり?
 この記事が依拠するAAP(米国出版社協
会)の出版統計は、同協会に加盟する120
0社の販売する書籍に限定されている。米国
の出版社数は、小さなものまで含めると、4
万を超えている。「統計は大手中心」。
 約7割の市場シェアを握るアマゾン(売上非
公開)が、「電子書籍の売り上げは依然とし
て伸び続けている」と主張
 つまり、「電子書籍では、大手以外のシェア
が伸びている」。
56
Author Earnings
57
Author Earnings
58
Author Earnings
59
Books In Printによる調査
60
日米メジャー出版社のKindle本
61
米国(世界)メジャー出版社のKindle本
62
結論:フラットになったのは大手出版社の
み。中小出版、自己出版が伸びている
63
米国の電子書籍革命
64
Kindleの
サービス
イン
POD
E-
books
P-
books
4大自己
出版支援
会社
自己出版
者
伝統出版
社
米国の電子書籍革命
65
PODの爆発的拡大
66
Bowker
自己出版の拡大
67
53,177&
66,459& 75,800&
94,826&
111,551&
148,424&
7,758&
7,941&
7,951&
14,193&
38,043&
87,201&
0&
50,000&
100,000&
150,000&
200,000&
250,000&
2006& 2007& 2008& 2009& 2010& 2011&
ISBN
小売価格ベースでは12%、冊数では28%
68
E-book
12%
Paperback
32%
Mass
Market
7%
Hardcover
36%
Audio
1% Other
12%
DOLLARS
E-book
28%
Paperback
26%
Mass
Market
10%
Hardcover
25%
Audio
1% Other
10%
UNITS
30歳以下の約半分が1年に一冊以上電子書
籍を読む
69
電子書籍・タブレットは読書を促進する
ネットユーザーでも「電子書籍しか読
まない」は6%のみ
71http://www.statista.com/chart/2204/people-still-prefer-holding-dusty-old-books/
他の産業との対比(アメリカ)
72
自己出版レボリューション
73
アマンダ・ホッキング E.L.ジェイムズ ジョン・ロック
イーブック・スーパースターの誕生
自己出版がメジャープレイヤーに
74
2014年前期出版社電子書籍ランキング(DBWによる)
ランク 出版社
ベストセラーリスト登場回
数 一位獲得回数
1 ペンギンランダムハウス 250 7
2 ハーパーコリンズ 156 12
3 アシェット 78 3
4 アマゾン 60 2
5 サイモンシュスター 28 0
6 自己出版 25 1
7 スコラスティック 8 0
8 ハーレクイン 4 0
8 マクミラン 4 0
10 W・W・ノートン 2 0
10 ハーバード大学出版局 2 0
10 ファイアフラワー 2 0
10 ペルセウスブックス 2 0
14 ロゼッタブックス 1 0
14 B&Hブックス 1 0
14 ケンジントンブックス 1 0
14 ホートン・ミフリン・ハートコート 1 0
自己出版刊行数が伝統出版と肩を並べる
75
ニコラス・カー氏の告白
76
 電子書籍への批判で知られたニ
コラス・カー氏が転向
 「電子書籍は紙の本にとってか
わるものではなく、補うもの
だった」
 特定ジャンル、コンテクストに
合っている。新しい著者、新し
いスタイルを産んだ。
 むしろ本とは相容れないコン
ピューターの文化と戦う必要
というわけで、「電子書籍の成長鈍化」と
いうのは問題の構図を見誤った意見
77
とはいえ、アメリカで一時のような熱狂が過ぎ去ったの
は事実。むしろ日本のほうが元気がいい。特に無料マン
ガ系アプリと文字もの系投稿サイト(CGM)。
無料マンガ
78
投稿CGM(文字もの系)
79
4.変革を阻むもの
21世紀の出版をつくる会
2016/4/15
80
預言者と自称「専門家」たち
81
電子書籍論ブーム
82
電子書籍論ブーム
83
自称「専門家」
84
「電子書籍論」を分類すると
電子書籍論
悲観論
没落論 敗北主義
ナショナリズ
ム論
楽観論
直接民主主義 未来主義
他のメディア
からの類推
山田順氏
 一冊で90カ所以上の誤り。出版してよい
レベルではない
86
番号 ページ 概要 分類 指摘 深刻度
1 18
これまで日本では、電子書籍専用端末が売れたためしがない〜2010年5月、アップルが
「iPad」(アイパッド)を日本で発売したときは〜、結局、これもたいして売れなかった。
文章 iPadは汎用端末であり、専用端末ではない。 A
12 23 紙の書籍は再販売価格維持制度(再販制度)によって義務付けられた定価販売価格商品だが 事実
再販制度とは再販売価格を決めた契約を出版社と取次、取次と出版
社が結ぶことが出来、これを独禁法違反としない制度のこと。義務
ではない。その証拠に「自由価格本」「B本」というビジネスが合
法的に成立している。
A
14 24
アメリカでは、2012年4月に司法省がアップルと出版大手5社を、電子書籍の価格カルテルを
結んだと提訴している。
事実
この提訴はシャーマン反トラスト法の「共謀」に対するもので、電
子書籍の価格決定のあり方についてのものではない。委託販売が合
法であることは司法省も認めている。
A
17 29
日本の音楽産業は、ネット配信が普及したことでCDショップが減り、結果的に市場規模が縮小し
た。
事実
よくある間違い。ネット配信(パソコン・スマホ)が中折れ、レン
タルCDが堅調なことから、この認識は誤り。またCDセールスも、
先進国の中では健闘している。
A
20 34
「著作権のフェアユース」を前提にしているWikipediaの「クリエイティブ・コモンズ・ライセン
ス」(CC BY-SA)。
事実
クリエィティブ・コモンズ・ライセンスは、「様々な作品の作者が
自ら「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」とい
う意思表示をするためのツール」(公式サイトより)であり、フェ
アユースは、[版権物の公正使用(範囲) 《書評や批判など限られた
目的のもとで, 版権所有者の同意した版権物を利用できること[範
囲]」(リーダーズ+プラス英和辞典)のこと。方向も意図も正反
対である。フェアユースはCCであろうとCだろうと著作物を利用で
きる法理のことだからである。
A
21 36
ところが、「Kindle」はWi-Fi(ワイファイ)に対応していて、端末さえあればいつでもどこでも
電子書籍を買えた。しかも、その通信料はアマゾンが負担したのである。
事実
Kindleが無線LANに対応したのは第三世代以降だが、ここでは
Sony Reader初代と比べているので、初代Kindleについて記述し
ているものと思われ、事実に相違している。また無線LANの使用料
を徴収する端末など聞いたことがない。無線LANと3G通信などの
区別がついてないものと思われる。
A
22 37 ソニーは現在も〜電子書店「ブックリスタ」も運営している。 事実
間違い。ソニー本体は書店を運営していない。書店とプラット
フォームないし取次の区別がついていないのではないか?
A
23 37
日本で売られている「Kobo Touch」は北米市場で売られている「Kobo Touch」とは違うもの
だったからだ。電子書籍のストアの中身が違うのだ。「コボタッチ」では、日本で発行されたクレ
ジットカードと日本からアクセスしているというIPアドレスがなければ、電子書籍は買えない。
「Koboイーブックストア」のタイトルやサービスは、海外とまったくの別ものなのだ。
事実
「端末」「プラットフォーム」「ストア」「アカウント」の概念の
混乱があり、よく意味がわからない。ちなみに筆者所有のカナダ版
Kobo Touchは日本語書籍が買える。つまり端末は同じものである
ことは明らかである。アメリカ版Kindle Fireでは、日本のクレ
ジットカードの登録されたIDを使うと、書籍以外のすべてのコンテ
ンツの購入が不可能だ。またこうした国別コントロールは、パブ
リッシャーの要求によって設けられたものである。
A
25 44
日本では紙の時代がこの先の根強く続くのではないだろうか。その理由は、「Kobo」や
「Kindle」がどんなにいいサービスを確立しても、それを買う購買力がいまの若いユーザーにはな
いと思えるからだ〜スマホでも電子書籍は購入できるし、テレビも見られるし、映画も見られる。
若いユーザーにとっては、スマホ1台あれば、ほかのデジタル端末は必要ないのだ。
認識
端末の話をしているのか、電子書籍サービスの話をしているのか不
明。端末に関していえば、少なくともアメリカでは、電子書籍サー
ビスは年長者、高額所得者のユーザーが多いわけだが、なぜ若い
ユーザーが鍵になると考えるのか? 電子書籍サービスの発展に
とっては、利用者がスマホを使おうと何を使おうと、コンテンツを
買ってくれればまったく問題ないが、なぜスマホの普及が電子書籍
発展の障害になるのか? むしろ後押し要因ではないか。論理的に
意味不明。
A
山田順氏
87
29 50
電子書籍には、いくつかのフォーマットがある。ドットブック、バイナリ、XMDFな
ど日本独特のフォーマットから〜
事実 「バイナリ」は「実行プログラム」という意味で、フォーマットではない。 A
30 51
こうしたフォーマットの制作は、HTMLとCSSによって行われる。HTMLとは、
ウェブを作成するための言語で、タグというマーク(命令)を使って、文書の構造(見
出しの位置や段落など)を指定したり、文字の大きさや色を変えたりする〜現在、ウェ
ブページのほとんどは、HTML5+CSS3で作成されていて、電子書籍も同じであ
る。
事実
タグは「マーク」ではないし、「マーク」は「命令」という意味でもない。文書の構造
とは見出しの位置を指定することではない。文字の大きさや色を変えるのはCSSである。
現在、HTML5+CSS3を実装したサイトは少ない。電子書籍でHTML5+CSS3を使うのはこ
こで紹介されている中ではEPUBだけである。つまりこの段落のほとんどすべてが間違い。
A
36 72
従来の紙の出版では、文芸書の契約は初めから単行本と文庫版を別の出版社で刷ること
を念頭に置いていて、「独占」という概念がなかった。しかし、これを解消しないと電
子化は進まないので、著作隣接権の出版社への付与を働きかけたのである。
事実
売れる本については、単行本と文庫版両方を出したいのは出版社としては当然で、実際
に通常はそう申し出るはずである。「念頭に置いている」などということは一切ありえ
ない。「独占契約」と「著作隣接権」は無関係。
A
43 77 日本で独特のフォーマットが何種類も作られたのは 事実
電子書籍のフォーマットは、日本以外でも膨大な数が存在する。Wikipediaには27種類挙
げられている。 A
45 78 ボイジャージャパンの 事実 ボイジャー。社名くらいちゃんと書きましょう。 A
48 80
電子書籍専用端末ごとにフォーマットも違うしDRMもかかっているで(ママ)、購入し
た端末でしか読めない。
事実 そんなものは見たことがない。 A
49 79
仮にあなたが『ハリー・ポッター』の作者のような大ベストセラー作者だとしよう。次
回作は、全世界が期待している。この次回作をDRMなしの電子書籍で売りだしたらどう
なるだろうか。たちまちのうちに世界中でコピーされ、あてにしていた売上印税の収入
は得られず、作家生活ができなくなってしまうかもしれない。
認識
「ハリー・ポッター」をこの例に持ち出すのは不適当であろう。7月、DRMフリーで電子
書籍を売りだしたからである。何も知らない読者にとっては極めてミスリーディングな
例である。
A
50 80 すでに欧米では、ランダムハウスがDRMを外すことを宣言し、 事実
これはオーディオブックのことではないか。それ以外の報道を見つけることができな
かった。 A
51 81 日本のネット空間は、消費税が徴収できない無法地帯になっていて 事実
意味がわからないが、ほとんどは徴収されているであろう。もちろん朝日新聞社のデジ
タルコンテンツも税込で販売している。 A
52 81 日本以外の先進国ではすでに取り組みが終わっている。 事実
正反対であることはOECDのレポートにも出ている。アメリカの場合、州を超えたECの
課税については未だに議論が続いている。 A
55 90
ボーダーズ破綻の原因は、電子化にそっぽを向いて、ひたすら大型化してチェーンを拡
大していったことにあるとされる。たしかに、ボーダーズは、ネット通販にも、電子化
にも興味を示さず
事実
2009年、ボーダーズはKoboに投資し、経営破綻するまで11%の第二位株主だった。これ
を「そっぽを向いていた」というのは? 店頭でKoboを売り、Borders ebookstoreも運営
していた。
A
61 156
たとえば『ワシントン・ポスト』の一面にもフリーランスの大物が書いた記事が載る。
しかし、朝日新聞や読売新聞にそんな記事が載ったことはない。
事実
そんなことはない。2012年9月、朝日新聞が1面で掲載した村上春樹氏の寄稿は多くの反
響を呼んだ。 A
62 156 (朝日新聞、読売新聞は)また、記事の署名入りの記事も圧倒的に少ない。 事実 朝日新聞の場合、2005年1月1日以降の記事は基本、署名原稿である。 A
63 182
レポートを発表したのは、コミュニケーション研究で有名な南カリフォルニア大学(U
SC)のアネンバーグ・スクールセンター
事実
「アネンバーグ・スクールセンター」という表現がおかしいことは、ジャーナリズムに
詳しい者でなくとも、英語がわかればすぐわかる。実際、各種記事で確かめると、USC
Annenberg School for Communication & Journalismである。また、この記述の元となった記
事は読売のサイト上に容易に見つかる
(http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/overseas/america/201202ame.html)。この部分は元記事の真
偽を確かめないままコピペしたようで、元記事も「アネンバーグ・スクールセンター」
と書いている。元記事のさらに元記事(News Paper Death Watch)はこちら。
http://newspaperdeathwatch.com/can-1400-dailies-die-in-5-years-yes/ 当然だが、News
Paper Death Watchの記事は正確な組織名を使っている。
A
65 248
2005年、スタンフォード大学のコマースメント(卒業式)で、故スティーブ・ジョブズ
氏が行ったスピーチは、彼の死後、ふたたび蘇った。
事実 コマースメントなどという英語はない。commencement(卒業式)のことか。 A
66 251
いま私が危惧しているのは、そのようなプロセスのなかで、既存の紙メディア産業が経
営難に陥り、その結果、ジャーナリズムやコンテンツの質が落ちてしまうということだ。
認識 これまで指摘したとおり、この本自体がその証左であろう。 A
多すぎて書ききれません。詳細は下記にあります。
https://github.com/tomochan001/JEPA_seminar_20140627
山田順氏の主張
 電子書籍端末は普及しない
 だから電子書籍は売れない
 電子書籍はマルチメディアでな
ければならないが、これは出版
社には作れない
 若者は本を読まない
 若者は電車でスマホばかり。だ
からコミックは売れない
 日本の電子書籍は数が少ないか
ら普及しない
佐々木俊尚氏の主張
 電子書籍で本は「アンビエント化」
する
 セルフパブリッシングで電子出版す
れば、印税が最高7割で著者の実入
りは大きくなる
 ソーシャル・リーディングで出版社
の役割は小さくなり、スモールビジ
ネス化(エージェント化)する
 音楽で起きたことが書籍でも起きる
 委託販売が日本の出版を腐らせてい
る。電子書籍も同じ
岸博幸氏の主張
 アマゾン等の「垂直統合モデ
ル」は日本の出版に合っていな
い
 アマゾン等の日本進出をそのま
ま許せば、米国の価値観に基づ
く「ネット帝国主義」に日本の
出版文化が破壊される
 官民挙げて日本型・水平分業型
のビジネスモデルを検討すべき
山田順氏の主張に対する疑問
 電子書籍は専用端末がなくても読めるので、
端末が売れるかどうかは関係がない
 「マルチメディア電子書籍」は世界的でも日
本でもビジネスになったことがない。つまり、
出版社でも十分電子書籍には取り組めるし、
現にそうなった
 ネットコンテンツの多くはテキスト+画像。
歴史上例をみないほどテキスト+画像を読ん
でいる若者に「書籍は売れない」とは?
 90年代と今を比べて「昔はよかった」と嘆
くことに何の意味があるのか
 他に事実関係の間違いが多すぎる(「音楽は
DRMでがんじがらめ」など、2冊の本で約1
60点)
佐々木俊尚氏の主張に対する疑問
 本と音楽は違う。一章一章をバラバラにしたものに価値があるの
か?
 佐々木氏の書籍自体がアンビエント化していない
 佐々木氏の議論には「コスト」の概念がない
 スモールビジネス化、アンバンドル化した編集ビジネスはスケー
ルメリットがでないのでコストが高くなる
 マーケティングはネット上で行えばよい、とあるが、ネットマー
ケティングは単体製品を売るには非常にコストがかかり、効率が
悪い。
 自身の本が電子化されていないことが多いのはどうしたわけか?
「7割印税で中抜き」という主張に反している
 書籍の委託販売は日本だけ、というのは明らかに間違い
 新しい本の売り方として紹介したbk1、松丸本舗はどちらもクロー
ズ
 ソーシャルリーディングは結局、大きなムーブメントにならな
かった。
 総じて「いつかはそういう流れがくるかも」と思わせるが、今の
ビジネスには役立たない
佐々木俊尚氏の主張に対する疑問
岸博幸氏の主張に対する疑問
 例えば講談社は印刷会社を所有、大日本印刷
は出版社を、凸版印刷は関連会社ブックライ
ブで端末を販売している。日本の出版界が
「垂直統合」でないとなぜ言えるのか。他の
業界にも垂直統合の例は無数にある
 ユニクロ、しまむら、ニトリなど、SPAはす
べて垂直統合。これは「米国モデル」か?
 あるビジネスモデルがその国の「文化」に合
致しているかどうかは、どのような基準で判
断されるのか
 端末とサービスのIDを使い分けるのは面倒こ
の上ない。ユーザー利便性の観点がない
 議論全体が貿易保護主義や文化帝国主義を別
の言葉で言い換えただけに見える
97
100万タイトル作ることが
できたら、その上でいろ
んな人がビジネスをやっ
てくれるだろう
デジタル機構の使命?
アメリカは100万冊
で日本は数万冊。ま
ずは5年間で100万
点電子化を目指す
電子書籍の流通は、
競争する必要がない。
機構がその「非競争
領域」を担う。
I 「出版デジタル機構」の目的および目標
●国内における電子出版ビジネスの公共的インフラを整備することで、
市場拡大を図る(略)。
●本機構は各出版社等からの出資を受け、収益化を目指す。
Ⅱ 同・基本業務内容
●「出版デジタル機構」(以下、「本機構」)参加各社の出版物デジ
タルデータの保管業務を行う。
●対図書館ビジネス(BtoP)を各社に代わって本機構が代行する。
●国立国会図書館が電子化をおこなった雑誌・書籍の民間活用の担い
手となる。
●各電子書店・プラットフォーマーに向けての配信業務(BtoB)を支
援する。
●各社の希望に応じて出版物の電子化を行う。
●各社の著作権者への収益分配を支援する。
●電子出版物に関する検討事項を討議し、解決する場を提供する。
98
伝統的なやり方をそのままデジタル
にスライドさせる思考法
99
著者 出版社 取次
書店
・図書館
読者
Before
著者? 出版社? 取次?
書店
・図書館?
読者?
After
Digital Disruption
新しいメディア勃興期の典型的パターン
新メディア批判の歴史
バックミラー症候群
大成功者
中成功者
小成功者
成功した産業ほど、激しい変化
の時代にバックミラーを見てし
まう
お上頼み
10
3
三省懇談会
10
4
三省懇談会
10
5
三省懇談会の総括
 電子書籍の専門家の間では、「議論に参加
したのは評論家や紙の出版の専門家がほと
んどで、電子出版の本当の課題については
表層的な議論に終始した」という評価が大
勢
 特に、技術的に不必要な中間コード、国際
的な合意に反しているJP eコードについて
は批判が大きい
10
6
経産省緊急デジタル化事業
10
7
経産省緊急デジタル化事業
10
8
経産省緊急デジタル化事業
10
9
経産省緊急デジタル化事業
11
0
経産省緊急デジタル化事業
11
1
経産省緊急デジタル化事業
11
2
経産省緊急デジタル化事業
11
3
経産省緊急デジタル化事業
11
4
デジタル機構の迷走
11
5
安易な「電子書籍論」がもたらしたもの
国策プロジェクト
「出版デジタル機構」
中抜き(の
恐怖)
黒船対抗
•プラット
フォーム
点数至上主
義
アマゾン対抗「統一契約書」、100万点電子化、「電子書籍の日本モデル」
5.何を、どうすべきか
21世紀の出版をつくる会
2016/4/15
11
7
何を、どうすべきか
 昔からあるものをウェブの世界で再現、で
はなく、ウェブの流儀で出版を再定義
 自分がディスラプターになる。自分がされ
て一番嫌なことを先にやる。
 レベニュー・マネジメント
 プラットフォーム・ビジネス(両面市場の
経済学)
11
8
たとえば、O2O
 「店頭で電子書籍が買える」→ウェブ的には顧客
流出
 「店頭にくればこんな楽しいことがある、こんな
本がある」とネットの顧客をリアルの送客→これ
が導線
 そもそも店頭にいるのに本を調べるのにアマゾン
の方が速いのが現状→これを変えないとどうにも
ならない
11
9
たとえば、価格施策
 ネットでは「定価」はありえない。リアル
商材につきものの「メニューコスト」がな
いので、価格は常時変動するのがあたりま
え。
 紙の本とのカニバリズムはあったとしても
僅少。ジャンル限定(韓国の教保書店の紙
本・電子本の全数調査による。また、日本
の公取でも)。なので、電子書籍での安売
りは紙本への影響を心配する必要はほぼな
い。
12
0
公取レポート「オンラインとオフラインのサービス需要
の代替性」(2016/1)の結論
 書籍市場全体,単行本コミックと雑誌コミック市場,タイトル
別単行本コミックに関して,時系列分析で電子書籍の登場が
紙媒体の販売に影響を与えているのかを検証した結果,全て
のケースで有意な負の影響は確認されなかった。むしろ,コ
ミックの単行本と雑誌で 消費者は紙媒体と電子書籍を使い
分けている可能性,電子書籍の配信開始が紙媒体の提供を消
費者に知らせる効果がある可能性がうかがえた。今回は単
行本コミックのタイトル数が3タイ トルに限定され,電子書
籍の影響をより受けるだろうコミック雑誌については,デー
タが入手 できなかったため,定量的な分析は実施できなかっ
た。
 これらの結果から, 書籍販売部数の減少には,電子書籍の登場
以外の要因 を考える必要がありそうである。
12
1
オンライン広告は高い
12
2
レベニュー・マネジメント
 What is Yield/Revenue Management?Yield/Revenue
managementはアメリカンエアラインやユナイテッド
エアラインなどの航空会社により収益を最大化(最適
化)するために初めて導入されたビジネス戦略である。
 その後、ホテル、レンタカー、そしてレストランでも
導入された。広義にはイールドマネジメントは正しい
在庫を正しいお客さまに正しい時に正しい料金で販売
することと定義されている。よってホテルにとっては
正しい客室を正しいお客もしくは正しい滞在期間で、
正しい料金で販売する能力のことである。
 サービスを販売するサービス業においてイールドマネ
ジメントの考えは最も頻繁に適用される。
12
3
レベニュー・マネジメント
 高い固定費・低い変動費
 初期投資は莫大になるが、在庫1単位を追加販売するときの
変動費はとても小さい。ホテルでは初期の建設コストは莫大
なものであるが、1室を追加販売するときのコストはとても
小さい(一般的に部屋を清掃するコストくらいのものであ
る)
 ホテル繁忙期の客室料金は閑散期の客室料金と異なる。宿泊
予定日のずいぶん前に予約を入れたレジャー客は低めの料金
を支払い、逆に直前に予約したビジネス客は高めの料金を支
払っている場合がある。電話昼間と夜では電話料金が異な
る。 ”夜11時以降は2割引”や”11時以降はテレホーダイ”
で定額料金。レンタルビデオ新作は高く、すぐに返さなけれ
ばならないが、旧作は安く1週間レンタル!レストラン食事
の時間以外はお得な料金やコーヒーがサービスだったりする。
12
4
レベニュー・マネジメントの例
12
5
プラットフォーム・ビジネス
12
6
プラットフォーム・ビジネス
12
7
プラットフォーム・ビジネス
12
8
プラットフォーム・ビジネス
12
9
外資系は電話に出ないので仕事にならん!
13
0
デジタルコンテンツの強み=バージョニン
グ
13
1
デジタルコンテンツの強み=バージョニン
グ
13
2
バージョニング等の条件
 規格、書式、フォーマットなどが統一、公
開・共有され、誰でも安価に使える=取引費
用が低いこと
13
3
そして、デジタルファースト
13
4
デジタル・ファースト
 「編集部では『デジタル・ファースト』とは、
『紙より先にウェブにニュースを出す』と受
け止められているようだ。しかし外部では、
もっと大きな概念として使われている。『紙
の制約にとらわれず、ベストの記事をデジタ
ルに出す』。デジタル向けに出した記事をま
とめ直したものを翌日の紙面に仕立てる、と
いうのが゙最終形だ」
(ニューヨーク・タイムズ『イノベーショ
ン・レポート』より)
13
5
ハーパーコリンズの衝撃的な発表
「電子書籍の方が儲かる」
13
6
紙と電子、何が違うか
紙 電子
最小ロット あり なし
重版コスト あり なし
固定費 高い 低い(※)
返品、断裁、在庫コスト 高い なし
別バージョン 作りにくい 作りやすい(分冊、合本、短縮
版、異本、特典付き、イラスト
付きなど)
課金 ほぼ一冊単位(都度課金) 自由(期限付き無料、期限付き
割引、ポイント制度、フラッ
シュマーケティング、サブスク
リプション、バンドル、アイテ
ム課金、PAYWなど)
メニューコスト(価格変更コス
ト)
高い 低い
一物一価である必要 あり(流通が困難) なし(ダイナミックプライシン
グが可能)
ネットでの認知のされやすさ 低い 高い
13
7
紙の書籍 収益推移シミュレーション
出所:「『電子書籍の衝撃』の衝撃――セルフパブリッシングは救世主か?」(永田豊志:
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1005/31/news071.html)を元に著者作成
0 0.5 1 1.5 2
30
0
5
10
15
20
25
部数( 万部)
売上または利益(百万円)
紙書店売上
出版社の粗利益( 完売時)
コ スト
出版社の粗利益( 返本4 割)
初刷
2 刷
3 刷
4 刷
5 刷採算分岐点
図4−10
13
9
電子書籍と紙の書籍 収益推移シミュレーショ
ン
出所:「『電子書籍の衝撃』の衝撃――セルフパブリッシングは救世主か?」(永田豊志:
http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1005/31/news071.html)を元に著者作成
0 0.5 1 1.5 2
30
0
5
10
15
20
25
部数( 万部)
売上または利益(百万円)
紙書籍総売上金額
出版社の粗利益( 完売時)
紙書籍コ スト
出版社の粗利益( 返本4 割)
初刷
2 刷
3 刷
4 刷
5 刷紙書籍採算分岐点
電子書籍総売上金額
電子書籍コ スト ( 印税の場合)
電子書籍採算分岐点
電子書籍コ スト ( 印税なし )
出版社粗利益
14
0
紙書籍(P) 電子書籍(E)
P+E戦略
コスト
コスト
①Eのネットでの認知力をPに活かす
②Eのコストをゼロにする③Pのコストも下がる
④Eの一般化でEを選ぶ消費者が増える
マージン
マージン
14
5
著者 編集 制作 流通 販売 読者
P+E出版は実は「中抜き」ではなく「中あり」
ハイブ
リッ
ド・
オー
サー
ハイブ
リッ
ド・
リー
ダー
「電子書籍では不要」と言われてきた
が、
P+Eではプロセスは複雑化するため、
むしろ仕事は増える 読者
の増
加
著者
の増
加
この両者をサポートす
る仕事が必要
14
6
著者 出版社 印刷・製本 流通 書店 読者
紙本の
エコシ
ステム
P+E出
版のエ
コシス
テム
著者 出版社
制作
会社
電子
取次
書店 読者
電子本
のエコ
システ
ム
出版サプライチェーンの変化(紙→P+E)
著者 編集 制作 流通 販売 読者
「中抜き」が強調されていた→×
チェーンの「環」が自ら変わることで次のモデルを
作る→「読書」が拡大すれば、どの「輪」も成長の
可能性
「紙本の死」が強調されていた→×
E-book 0.5
E-book 1.0
14
7
「ハイブリッド・オーサー」論
 ネット時代には「出版」は執筆
を思い立った瞬間から始まって
いる
 ブログで執筆過程を公開する
 できれば作品のタイトル名でド
メインを取り、ランディング
ページを立ち上げる
 SNS、メールマガジンなどで、潜
在読者とのコネクションを事前
に作っておく
著者 編集 制作 流通 販売 読者
P+E出版における「著者」
14
8
著者 編集 制作 流通 販売 読者
P+E出版における「読者」
 「ハイブリッド・リーダー」論
 紙と電子書籍を、スマートに使い分ける
 フィクション、コミックスは電子で、ノンフィクション、
専門書は紙で、など
 新刊情報通知サービスに登録して、新刊情報をゲットする
 ネットやリアルを通じて、著者とダイレクトにつながる
 障害者、高齢者もアクセシビリティにより、アクティブな
読者になる
 ニーズの多様化、高度化
14
9
著者 編集 制作 流通 販売 読者
P+E出版における「流通・販売」
 「ハイブリッド・リーダー」に向けた支援
 P+Eの流通、ディスカバリー、パスファイン
ダー(紙も電子も分け隔てなく案内)
 O2O(ネットからリアルへ)
 ネットでは体験できないことの価値(イベント、
コミュニティ、ブッククラブ)
 ニッチカテゴリーに特化→アマゾンの「総合
性」「システム」に「特殊性」「体験」で対抗
15
0
P+E出版のサプライチェーン
著者 編集 制作 流通 販売 読者
 「ハイブリッド・オーサー」に向けた支
援(ランディングページ立ち上げ、運営、
ソーシャルマーケティング)
 著者向け、編集者向けCMSによる一気
通貫モデル
 編集・制作フローのP+Eへの最適化(電
子書籍はコストゼロへ)
15
1
デジタルファーストのためのプロセス改革
出所:筆者作成
CMS
編集(A) 組版(D)
紙媒体
に印刷
(A)
再加工(D)
=編集ではな
い
電子書
籍・雑誌
化(D)
編集(A)
紙と電子の編集・制作(D)
双方向
(赤字はCMSに
反映)
電子書
籍・雑誌
化(D)
紙媒体
に印刷
(A)
いったんDにしたものをAにした後、再度Dにしている→非効率
CMS更新
Word雛型
Markdown
入稿
ウェブ
(D)
15
3
従来の出版プロセス
執筆
編集・校閲
商品企画
事前仕掛け
刊行
宣伝・広告
書評働きかけ
書店営業
イベント仕掛け
SMO?
出
版
編集部 業務部
15
4
宣伝・広告
書評働きかけ
書店営業
イベント仕掛け
SMO?
リバースパブリッシング
執筆
編集・校閲
商品企画
事前仕掛け
刊行
作品サイト
SEO・SMM
メルマガ
著者ブログ
コミュニティ構築・セミナー
出版
PE(サンプル含む)
15
5
コンテンツのライフサイクルの変化
紙
P+E以前
P+E1.0
(サイマル)
電子
紙
電
子
品
切
れ
品
切
れ
紙
電子 電子
P+E1.5
(電子先行)
電
子
紙
電子
電子
品
切
れ
品
切
れ
紙
電子 電子
ネットワーク(相乗)効果なし
カニバリズムによる
機会損失
品切れによる機
会損失
品切れによる機会
損失の一部を電子
が救う
電子版が紙版をプ
ロモーション
電子版が紙
版をプロ
モーション
電子版が紙
版をプロ
モーション
電子版先行
(サンプル
含む)
「電子書籍は売
れない」
カニバリズムによる
機会損失
品切れによる機
会損失
品切れによる機会
損失の一部を電子
が救う
電子版が紙版をプ
ロモーション
15
6
(1)
「電子化」
(2)
「ネット化」
(3)
「バリアブル」
(4)
「アナリティカル」
(5)
「アルゴリズム」
電子編集の発展5段階説
• 上流最適化
(Word/Ma
rkdown)
• CMS導入
(制作内部
化)
• 書誌DB
• 売上管理DB
• コストゼロ
出版
• 契約書改訂
• (作品)サイト最
適化SEO/SMO
• オウンドメディア
マーケティング
• ワンソース・サイ
マルパブリッシン
グのシステム化
• リバース・パブ
リッシング
• 自己出版
• 2つのクラウド
• アイテム課金型ア
プリ
• 販売多様化
• O2O
• 全集(まと
め買い)対
応
• マイクロコ
ンテンツ
• メーター制
• オンデマン
ド
• バンドル
• POD
• 自社ものコ
ンテンツ掘
• データマイ
ニング
• 成果レポー
ト自動化
• 編集現場へ
のフィード
バック(ア
ナログ)
• 企画支援
• 予測システ
ム
• データド
リブンな
出版企画
• ボット出
版
• 出版サ
ポートの
自動化・
サービス
化
スムーズ
な電子化
解決した
い課題
P+Eシステ
ム
デジタルコン
テンツの多様
なニーズに対
応
コンテンツ
へのアナリ
ティクス応
用
ロボット
編集
15
7
販売のビジネスモデル
コンテ
ンツ
都度課
金
定期購
読
バンド
ル
O2O
アイテ
ム課金
ポイント・
メーター制
15
8
参考文献
15
9
まとめ
 「中抜き」は起きない
 「デジタル・ディスラプション」を自ら起
こす「デジタル・ファースト」にシフトす
れば、出版社等のプロの仕事がなくなるこ
とはない
16
0
余談
16
1
余談
16
2

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