SlideShare ist ein Scribd-Unternehmen logo
1 von 30
林 寛平
信州大学大学院 教育学研究科
kampei@shinshu-u.ac.jp
1. PISA2015の結果
◦ 世界的な傾向-成績と公正さ
◦ 調査方法の主な変更点
◦ 日本の成績と公正さ
2. PISA2015とTIMSSからみる日本への示唆
3. PISAはどこに向かうのか
2
3
PISA運営理事会
PISA Governing Board(PGB)
調査参加国の代表で構成
OECD事務局
ETS
全体マネジメント
/監督
技術諮問委
員会
各分野国際
専門委員会
質問調査専
門委員会
主な国際請負機関(Int’l Contractors, “PISA Consortium”)
Pearson
フレーム
ワーク担
当
Westat
調査運営
/サンプリ
ング担当
DIPF
質問紙調
査担当
各国調査責任者
National Project
Manager (NPM)
国立教育政
策研究所
文部科学省
都道府県・政令指定都市教育委員会等
高等学校・中等教育学校後期課程・高等専門学校
ETS
アイテム開発
/得点化・分
析/電子プ
ラットフォーム
担当
出典: 文部科学省, PISA2015年調査 パンフレット;OECD, PISA 2015 Results Volume 1, p.484より林作成
 2000年開始、3年に一度
 読解力、数学的リテラシー、
科学的リテラシーの3分野
(+問題解決力などの革
新分野)
 運営体制:右図
 運営費: OECD-年間約
20億円、うち日本の分担
金約1億円
 国内調査はすべて自国の
負担
 全データ公開
◦ 公開―結果の報告書2冊、
アセスメントの枠組み
◦ 今後-結果の報告書3冊、
テクニカル・レポート、データ
PISAとは
 引き続きアジア諸国の好成績が顕著
◦ 成績上位国の特徴は、社会経済的背景による成績への影響が少
なく、レジリエントな生徒*の割合が大きいことにある
*レジリエントな生徒:
「逆境に打ち克つ(抵抗力のある)」生徒を意味し、社会経済文化的
背景が全体の下位25%以下に位置する生徒のうち、上位25%以
上の成績を収めている生徒を指す
・OECD諸国で2006年から1.5ポイント増加し29%に
(日本は8.2ポイント増加して48.8%に)
 科学的リテラシーの基礎的習熟度(Lv.2)に達している生
徒の割合はOECD諸国で79%(2006年は77%)
5
Japan(37,538)
y = 44.24ln(x) + 319.29
R² = 0.36
325
350
375
400
425
450
475
500
525
550
575
4 8 16 32 64 128
Sci. Score
Per capita GDP (in thousand USD converted using PPPs)(logarithmic scale)
6Source: OECD, PISA 2015 Database, Table I.2.11.
7
Austria
Chinese Taipei
46,000 USD
Estonia
66,000 USD Japan
Norway Switzerland
y = 52.96ln(x) + 254.67
R² = 0.54
325
350
375
400
425
450
475
500
525
550
575
8 16 32 64 128 256
Sci. Score
Expenditure on students from age 6 to 15
(cumulative expenditure; in thousand USD converted using PPPs) (in logarithmic scale)
Source: OECD, PISA 2015 Database, Table I.2.11.
8
Lithuania
Hungary
Costa Rica
Chinese Taipei
Chile
Brazil
Turkey
Uruguay
Bulgaria
Mexico
Thailand
Montenegro
Colombia
Dominican Republic
Peru
Georgia
Luxembourg
Switzerland
Norway
Austria
Singapore
United States
United Kingdom
Malta
Sweden
Belgium
Iceland
Denmark
Finland
NetherlandsCanada
Japan
Slovenia
Australia
Germany
Ireland
France
Italy
Portugal
New Zealand
Korea
Spain
Poland
Israel
Estonia
Czech Republic
Latvia
Slovak Republic
Russia
Croatia
R² = 0.41
R² = 0.01
325
375
425
475
525
575
0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200
Average spending per student from the age of 6 to 15 (in thousands USD, PPP)
Countries/economies whose cumulative expenditure per student in 2013 was less than USD 50 000
Countries/economies whose cumulative expenditure per student in 2013 was USD 50 000 or more
Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.6.2.
50,000 USD
9
78.8
47
43.8
41.3
28.4
0 20 40 60 80 100
生徒の社会経済的背景
適応型授業指標
教師主導型授業指標
学校の社会経済的背景
科学の授業での規律風土指標 -85.9
-66.1
-50.9
-44
-42.3
-100 -80 -60 -40 -20 0
留年経験
フィードバック受容指標
放課後の学習時間
女子生徒
探究型授業指標
Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.7.2.
Level of confidence that a relationship exist (z-scores)
成績と正の相関 成績と負の相関
 科学では男子が女子より好成績
◦ ジェンダーによる成績差は科学で男子が4点高く、数学では男子が
8点、読解力は女子が27点高い。数学と読解力の成績差は縮小
 移民背景をもつ生徒が増加
◦ 2006年から2015年にかけて9.4%から12.5%に
◦ 移民背景をもつ生徒の低成績傾向はやや改善(2006年から6ポイ
ント改善し、19点差に(ESCS, 家庭言語補正後))
 OECD諸国の生徒の成績の約12.9%は社会経済的背景
によって説明される(日本は10%)
◦ 社会経済的に不利な立場は学校でのリソース不足、授業時間の不
足と密接に関連し、留年や進路(職業プログラムへの入学)に影響
している。
10
 コンピュータを利用した調査(CBA)に全面移行
◦ これまでの調査との同一性を確保したとOECDは主張
◦ 大問を解き終えると前の問題に戻れない、といった仕様上の
制限
◦ キーボード入力に伴う漢字使用者の不利
◦ 表語文字のフォントサイズの問題
◦ シミュレーションを用いた探究課題が可能に
◦ 各生徒・各問題の回答時間などの背景データが収集可能に
 アイテム構成の修正
1. アセスメント・デザインの変更
2. 較正(calibration)サンプルの変更
3. 共通問題数の増加
11
 得点化方法の変更
 地域ごとに異なる事情をより正確に反映し、比較可能
にするために、より複雑な処理モデルを採用
1. 1パラメータIRT(項目反応理論)モデルと2パラメータとの
「ハイブリッド」モデルに変更
2. 国際パラメーターからの逸脱を一部容認
3. 未回答の問題の扱い(scoring, scaling)を変更
 過去の得点との比較可能性が若干損なわれた
◦ 科学- コロンビア 399点(2012)→416点(2015)
◦ 読解- 韓国 22点↘→9点↘
◦ 数学- 台北 18点↘→3点↘ ベトナム 17点↘→4点↘
12
13
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
ゆと
り
個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生きる力
2006
平18
小1
個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生きる力
2007
平19
小2
個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生きる力
2008
平20
小3
個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆとり
2009
平21
小4
個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆ
とり
脱ゆとり
2010
平22
小5
個性 個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆとり
2011
平23
小6
個性 個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆとり
2012
平24
中1
個性 個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆとり
2013
平25
中2
個性 個性 個性
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
生き
る力
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆ
とり
脱ゆとり
2014
平26
中3
2000 2003 2006 2009 2012
2015
平成27年
高1
全面実施
(2011年)
移行措置・先行実施
(2009年)
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015
中曽
根
大森
町
村
遠山 河村 中山 小坂 伊吹 渡海
鈴
木
塩谷 川端 高木
中
川
平野
田
中
下村 馳
教育基本法改正
(2006年)
出典: 林作成
14
550
548
531
539
547
538
522
498 498
520
538
516
557
534
523
529
536 532
470
480
490
500
510
520
530
540
550
560
570
2000年 2003年 2006年 2009年 2012年 2015年
科学的リテラシー 科学的リテラシー(2015) 読解力 読解力(2015) 数学的リテラシー 数学的リテラシー(2015)
Source: OECD, PISA 2015 Database, Table A5.3, A5.4, A5.5, etc..
 シンガポールに次ぎ、OECD諸国でトップの平均点
 科学-成績上位者(Lv.5&Lv.6)が15.3%(OECD-
7.7%)
15
0%
1%
2%
5%
8%
16%
18%
25%
28%
27%
29%
19%
13%
7%
2%
1%
日本
OECD
Below Level 1b Level 1b Level 1a Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6
Source: OECD, PISA 2000 Database, Table 2.a, PISA 2003 Database, Table 2.1a, 6.1, PISA 2006 Database, Table 2.1a, 6.1a, 6.2a, PISA
2009 Database, Table I.2.1, I.3.1, I.3.4, PISA 2012 Database, Table I.2.1a, I.4.1a, I.5.1a, PISA 2015 Database, Table I.2.1a.
0
10
20
30
40
Below
Level
1/1b
Level
1b
Level
1a
Level
2
Level
3
Level
4
Level
5
Level
6
科学的リテラシー
2006 2009 2012 2015
0
10
20
30
Below
Level
1
Level
1
Level
2
Level
3
Level
4
Level
5
Level
6
数学的リテラシー
2003 2006 2009 2012 2015
0
10
20
30
40
Below
Level
1/1b
Level
1b
Level
1a
Level
2
Level
3
Level
4
Level
5
Level
6
読解力
2000 2003 2006 2009 2012 2015
 読解力はPISA2015の中心分野ではない
 読解力は他の分野に比べて振れ幅が大きい
◦ OECD加盟国のうち、当初からPISAに参加している24か国の得点差
の合計(変動幅)は科学で562点(2006-2015)、読解力で656点
(2000-2009)、数学で526点(2003-2012)
 前回調査からの読解力の成績低下は統計的に有意
◦ 下落したのか、戻ったのか
 CBAは初めて全面実施、問題は過去と共通
 PISAは相関しか示せず、因果は説明できない
◦ PISAのデータ単独では読解力低下の要因を説明できない
 読解力をより立体的に分析するために
◦ ex. IEA-PIRLS(国際読書力調査)に参加するなど
◦ 調査の組合せ・追跡可能にするなど、関連調査を計画的に実施
◦ 大規模国際アセスメントに戦略的に参加、分析・活用を促す仕組みを
 大規模国際アセスメントの目的と限界を正しく理解し、長期的な
視点に立った政策立案につながることを期待
16
17
Japan
OECD Average
370
390
410
430
450
470
490
510
530
550
570
0.05.010.015.020.025.0
科学的リテラシーの得点
社会文化経済的背景によって説明される科学的リテラシーの得点の散らばり
2006年に比べて成績向上、公正さ低下
公正さ良好
成
績
良
好
Source: OECD, PISA 2006 Table 4.4a, PISA 2015 Database, Table I.6.17.より林作成
成功している教育制度(Successful School System)
①成績がOECD平均以上
②社会経済的背景が成績に与える影響がOECD平均以下
第1象限
19
80
63
18
28
2
9
0% 20% 40% 60% 80% 100%
2015
2011
Percentage of the Student who reported the
Bullying at School, 8th Grade
Almost Never About Monthly About Weekly
585
570
488
495
596
576
478 484
434 433
400
420
440
460
480
500
520
540
560
580
600
Mathematics Science Mathematics Science
Japan Int'l Avg.
Student Performance and the Bullying at School,
8th Grade
Almost Never About Monthly About Weekly
Source: IEA, TIMSS 2006, Mathematics Exhibit 6.12, Science Exhibit 6.12, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 7.6, Science Exhibit 7.6. より林作成
この学年になって、学校で、次のようなことがどのくらいありましたか。
(メールやインターネットを含みます)
1) 私はからかわれたり、悪口を言われた
2) 私は何かをするときに、仲間はずれにされた
3) だれかが私について、うそを言いふらした
4) 私のものが盗まれた
5) 私は他の生徒から危害を加えられた(おす、たたく、ける、など)
6) 私はやりたくないことを他の生徒にやらされた
7) 私の恥ずかしい情報をさらされた (2015追加)
8) 脅された (2015追加)
20
Mexico
Dominican Republic
Colombia
Montenegro
Turkey
Thailand
Peru
Bulgaria
Georgia
FYROM
Qatar
Hong Kong (China)
United Arab Emirates
GermanyKorea
Spain
Netherlands
Japan
Portugal
Canada
Singapore
Denmark
Australia
New Zealand
Chile
Malta
Luxembourg
Ireland
Finland
Chinese Taipei
Austria
Italy
Poland
United States
France
Greece
Sweden
Hungary
Uruguay
Israel
Macao (China)
Norway
Czech Republic
Slovak Republic
Lithuania
300
350
400
450
500
550
600
20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260
Scienceperformance(scorepoints)
Teachers' salaries relative to per capita GDP (%)
Countries'/Economies' per capita GDP less than USD 20 000 Countries'/Economies' per capita GDP over USD 20 000
Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.6.7.
21
19
49
61
42
20
9
0% 20% 40% 60% 80% 100%
Japan
Int'l Avg.
Student Share of Teacher Job Satisfaction Scale
(8th Grade, Science)
Very Satisfied Satisfied Less than Satisfied
Source: IEA, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 6.7, Science Exhibit 6.7より林作成
583 580
486 492
588
570
478 483
585
563
480 478
400
420
440
460
480
500
520
540
560
580
600
Mathematics Science Mathematics Science
Japan Int'l Avg.
Student Performance and the Teacher Job
Satisfaction, 8th Grade
Very Satisfied Satisfied Less than Satisfied
あなたは、次のことについてどう思いますか。
1) 私は教師という職業に満足している
2) 私はこの学校で教師をしていることに満足している
3) 私は教師として重要な職務を行っている
4) 私は自分の仕事に熱意がある
5) 私の仕事は刺激的だと思う
6) 自分の仕事に誇りを感じる
7) 私はできる限り教師であり続けたいと思う
22
580
568
477
486
587
577
480
486
586
578
483
487
589
569
484
487
450
470
490
510
530
550
570
590
610
Mathematics Science Mathematics Science
Japan Int'l Avg.
Student Performance and Teachers’ Years of Experience (8th Grade)
Less than 5 Years At Least 5 but Less than 10 Years At Least 10 but Less than 20 Years 20 Years or More
Source: IEA, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 8.6, Science Exhibit 8.6より林作成
あなたの教職経験年数は、今年度末までで、何年ですか。
(およその年数を最も近い整数で記入してください。)
PISAによって生まれた体制は、生
徒や教師の幸せをおびやかす。
(the Guardian, 2014-05-06)
PISAは短期的に何かをしようとしている
わけではない。PISAはむしろ、国際比較
を通して幅広い政策の選択肢を提示し、
それによってより戦略的な政策デザイン
の機会を提供してきた。
(the Guardian, 2014-05-08) シュライヒャー局長(OECD)
教育学者からのPISA批判・PISA2015中止運動
24
世界中の100名ほど
の学者による声明
25
14 11
22
33
27
0
10
20
30
40
50
60
70
80
2000 2003 2006 2009 2012
PISAの参加国数
Others Developing countries Developed countries
PISA for Development -PISAを用いた政策立案を支援
Cambodia, Ecuador, Guatemala, Honduras, Panama, Paraguay, Senegal, Tanzania, Zambia
0
10
20
30
40
50
60
70
80
1970s 1980s 1990s 2000s
大規模国際アセスメントへの低・中所得国の参加
(%)
(Modified from Lockheed, 2013)
https://www.oecd.org/pisa/aboutpisa/pisafordevelopment-documentation-briefs.htm
0
20000
40000
60000
80000
100000
350 400 450 500 550 600
GDPpercapitainUSD2012
PISA 2012 Math Score
Singapore
Australia
Germany
輸入国
輸出国
Netherlands
PISAに不参加
金持ち
PISA好成績
出典: 林寛平「グローバル教育政策市場を通じた『教育のヘゲモニー』の形成―教育研究所の対外戦略をめぐる
構造的問題の分析―」日本教育行政学会編『日本教育行政学会年報』No.42, 2016, pp.147-163.
26
 PISA-based Test for Schools
 15歳の読解、数学、科学について、PISAスケールに
基づいて分析し、記述したレポートを提供
 生徒の成績に関係した学校外の要素(社会経済的背
景や態度、学習への関心など)に関する質問紙調査も
提供する
 計141アイテム、2時間のテストと30分の質問紙
 学校は数百万円を負担する代わりに、学校の環境に
合わせたレポートが受け取れる
 すでにスペイン、イギリス、アメリカで実施されている
 ブルネイ、モスクワ等でも開発中
https://www.oecd.org/pisa/aboutpisa/pisa-based-test-for-schools.htm
27
 費用効果分析を用いたコンサルティング
施策A 全国で20人学級を実現するためのコストは年間4208億円
施策B iPadを全国の中学生にひとり1台配るためのコストは年間628億円
①教育の費用効果分析によると
 施策A 20人学級で成績が10点(仮)上がる →1点当たり421億円
 施策B iPadひとり一台で成績が2点(仮)上がる→1点当たり314億円
→施策Bの方が費用効果が高いことが分かる
②比較費用効果分析に展開すると
 ハンガリーの教員給与は日本の約3分の1
 iPadは一台あたりは日本と同額の約5万円
→各国の条件によって最適解が異なる
28
<カテゴリー1>
道具を相互作用的に用いる
A 言語、シンボル、テクストを相互作用的に用いる
B 知識や情報を相互作用的に用いる
C テクノロジーを相互作用的に用いる
<カテゴリー2>
異質な人々からなる集団で
相互に関わりあう
A 他者とよい関係を築く
B チームを組んで協同し、仕事する
C 対立を調整し、解決する
<カテゴリー3>
自律的に行動する
A 大きな展望の中で行動する
B 人生計画や個人的プロジェクトを設計し、実行する
C 権利、利害、限界、ニーズを擁護し、主張する
Definition and Selection of Competencies, DeSeCo
Education 2030 Framework (DeSeCo 2.0)
OECD, Global competency for an inclusive world, 2016, p.2.
 PISA2018:
◦ 読解力が中心分野
◦ 81カ国・地域以上が参加予定
◦ グローバル・コンピテンシーも測定
ご清聴ありがとうございました

Weitere ähnliche Inhalte

Was ist angesagt?

Statisitk inferens
Statisitk inferensStatisitk inferens
Statisitk inferensmohdkhamdani
 
Processo de Ensino na Escola
Processo de Ensino na EscolaProcesso de Ensino na Escola
Processo de Ensino na EscolaMarcia Caroline
 
Avaliacao da-parendizagem
Avaliacao da-parendizagemAvaliacao da-parendizagem
Avaliacao da-parendizagemheliane
 
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCAS
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCASTEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCAS
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCASSuellen Melo
 
Como potencializar as habilidades e competências
Como potencializar as habilidades e competênciasComo potencializar as habilidades e competências
Como potencializar as habilidades e competênciasDeusirene Magalhaes
 
Construção da proposta pedagógica da escola
Construção da proposta pedagógica da escolaConstrução da proposta pedagógica da escola
Construção da proposta pedagógica da escolaMarcelo Assis
 
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freud
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freudAula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freud
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freudFuturos Medicos
 
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”Yasmin Behrmann
 
Desenvolvimento moral na adolescência
Desenvolvimento moral na adolescência Desenvolvimento moral na adolescência
Desenvolvimento moral na adolescência Viviane Pasqualeto
 
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...SimoneHelenDrumond
 
Vygotsky - Desenvolvimento psicológico
Vygotsky - Desenvolvimento psicológicoVygotsky - Desenvolvimento psicológico
Vygotsky - Desenvolvimento psicológicoNuap Santana
 
A natureza da literatura infantil
A natureza da literatura infantilA natureza da literatura infantil
A natureza da literatura infantilRosemary Batista
 
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...quezinhaneves
 

Was ist angesagt? (20)

Statisitk inferens
Statisitk inferensStatisitk inferens
Statisitk inferens
 
Processo de Ensino na Escola
Processo de Ensino na EscolaProcesso de Ensino na Escola
Processo de Ensino na Escola
 
Avaliacao da-parendizagem
Avaliacao da-parendizagemAvaliacao da-parendizagem
Avaliacao da-parendizagem
 
Nota
NotaNota
Nota
 
Kilpatrick
KilpatrickKilpatrick
Kilpatrick
 
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCAS
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCASTEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCAS
TEORIAS DE APRENDIZAGEM PARTE 1: “PIAGET’’ QUESTÕES DE CONCURSOS DIVERSAS BANCAS
 
Como potencializar as habilidades e competências
Como potencializar as habilidades e competênciasComo potencializar as habilidades e competências
Como potencializar as habilidades e competências
 
Construção da proposta pedagógica da escola
Construção da proposta pedagógica da escolaConstrução da proposta pedagógica da escola
Construção da proposta pedagógica da escola
 
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freud
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freudAula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freud
Aula 3 desenvolvimento humano_vygotsky e freud
 
Pedagogia afetiva
Pedagogia afetivaPedagogia afetiva
Pedagogia afetiva
 
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”
Questão sobre o filme “como estrelas na terra, toda criança é especial”
 
Desenvolvimento moral na adolescência
Desenvolvimento moral na adolescência Desenvolvimento moral na adolescência
Desenvolvimento moral na adolescência
 
cuidar e educar
cuidar e educarcuidar e educar
cuidar e educar
 
Aula de estágio
Aula de estágioAula de estágio
Aula de estágio
 
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...
O currículo e práticas pedagógicas do cmei madre elísia simone helen drumond ...
 
O estádio pré operatório
O estádio pré  operatórioO estádio pré  operatório
O estádio pré operatório
 
Vygotsky - Desenvolvimento psicológico
Vygotsky - Desenvolvimento psicológicoVygotsky - Desenvolvimento psicológico
Vygotsky - Desenvolvimento psicológico
 
A natureza da literatura infantil
A natureza da literatura infantilA natureza da literatura infantil
A natureza da literatura infantil
 
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...
As Novas Tecnologias da Informação e Comunicação (NTIC) contribuindo para o a...
 
Planejamento
PlanejamentoPlanejamento
Planejamento
 

Ähnlich wie Pisa2015の結果と考察 (Results and Review of PISA 2015)

統計をビジネスに活かす方法 20130826 final
統計をビジネスに活かす方法 20130826 final統計をビジネスに活かす方法 20130826 final
統計をビジネスに活かす方法 20130826 finalschoowebcampus
 
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也schoowebcampus
 
1年生用資料(2023-9).pptx
1年生用資料(2023-9).pptx1年生用資料(2023-9).pptx
1年生用資料(2023-9).pptxYoshikiKashiwagi3
 
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也schoowebcampus
 
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...Takunori Terasawa
 
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書株式会社イトクロ 人材戦略部
 
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)Kazuaki ODA
 
NIT, IbC専攻科のすすめ
NIT, IbC専攻科のすすめNIT, IbC専攻科のすすめ
NIT, IbC専攻科のすすめtakutota9takuto
 
児童養護施設テンプレート
児童養護施設テンプレート児童養護施設テンプレート
児童養護施設テンプレートLiving in Peace
 
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講Koyo Yamamori
 
地理統計データ 閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した 地域課題分析の促進
地理統計データ閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した地域課題分析の促進地理統計データ閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した地域課題分析の促進
地理統計データ 閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した 地域課題分析の促進Kunihiko Miyoshi
 
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)hidekishima
 
今、子どもの保育と遊びの場所 ②
今、子どもの保育と遊びの場所  ②今、子どもの保育と遊びの場所  ②
今、子どもの保育と遊びの場所 ②esechirigakkai
 
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトーク
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトークAgile459 10周年 オープニング&クロージングトーク
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトークTakeshi Kakeda
 
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書被災地仮設住宅での学習支援活動報告書
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書vaio_eaqus
 
自己PR pp pdf
自己PR pp pdf自己PR pp pdf
自己PR pp pdfkengo021021
 
聖心女子大職業社会学 16.26.40
聖心女子大職業社会学 16.26.40聖心女子大職業社会学 16.26.40
聖心女子大職業社会学 16.26.40Cozy Azuma
 

Ähnlich wie Pisa2015の結果と考察 (Results and Review of PISA 2015) (20)

統計をビジネスに活かす方法 20130826 final
統計をビジネスに活かす方法 20130826 final統計をビジネスに活かす方法 20130826 final
統計をビジネスに活かす方法 20130826 final
 
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
 
1年生用資料(2023-9).pptx
1年生用資料(2023-9).pptx1年生用資料(2023-9).pptx
1年生用資料(2023-9).pptx
 
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
ビジネスに活かす「決断の統計学」入門 先生:藤村 慎也
 
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...
HLCワークショップ (2016年3月27日) 「言語と社会」の測り方・入門―量的アプローチの根本思想― 寺沢 拓敬 (東京大学社会科学研究所/学振特別研...
 
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書
イトクロ就活総研「大学生のキャリア志向性・学習状況・大学への要望等に関するアンケート」報告書
 
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)
商社や金融、コンサルに行くことはキャリアとして正解か?(東大経済学部)
 
21.kyoto 2011 1223
21.kyoto 2011 122321.kyoto 2011 1223
21.kyoto 2011 1223
 
NIT, IbC専攻科のすすめ
NIT, IbC専攻科のすすめNIT, IbC専攻科のすすめ
NIT, IbC専攻科のすすめ
 
18.lifenet benkyo kai
18.lifenet benkyo kai18.lifenet benkyo kai
18.lifenet benkyo kai
 
児童養護施設テンプレート
児童養護施設テンプレート児童養護施設テンプレート
児童養護施設テンプレート
 
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講
150610 教育学特殊XIV(学級規模)第8講
 
地理統計データ 閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した 地域課題分析の促進
地理統計データ閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した地域課題分析の促進地理統計データ閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した地域課題分析の促進
地理統計データ 閲覧アプリケーション『Seseki』を活用した 地域課題分析の促進
 
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)
海外大学院留学説明会@早稲田大学 (2011/12/14)
 
今、子どもの保育と遊びの場所 ②
今、子どもの保育と遊びの場所  ②今、子どもの保育と遊びの場所  ②
今、子どもの保育と遊びの場所 ②
 
130222
130222130222
130222
 
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトーク
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトークAgile459 10周年 オープニング&クロージングトーク
Agile459 10周年 オープニング&クロージングトーク
 
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書被災地仮設住宅での学習支援活動報告書
被災地仮設住宅での学習支援活動報告書
 
自己PR pp pdf
自己PR pp pdf自己PR pp pdf
自己PR pp pdf
 
聖心女子大職業社会学 16.26.40
聖心女子大職業社会学 16.26.40聖心女子大職業社会学 16.26.40
聖心女子大職業社会学 16.26.40
 

Kürzlich hochgeladen

Establishment and operation of medical corporations.pdf
Establishment and operation of medical corporations.pdfEstablishment and operation of medical corporations.pdf
Establishment and operation of medical corporations.pdfoganekyokoi
 
The first time I used CANVA to create a slide document.
The first time I used CANVA to create a slide document.The first time I used CANVA to create a slide document.
The first time I used CANVA to create a slide document.oganekyokoi
 
What I did before opening my business..pdf
What I did before opening my business..pdfWhat I did before opening my business..pdf
What I did before opening my business..pdfoganekyokoi
 
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイントshu1108hina1020
 
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhr
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhrKARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhr
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhrRodolfFernandez1
 
International Politics I - Lecture 1
International Politics I - Lecture 1International Politics I - Lecture 1
International Politics I - Lecture 1Toru Oga
 
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...yutakashikano1984
 
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...oganekyokoi
 
Divorce agreements in administrative work.pdf
Divorce agreements in administrative work.pdfDivorce agreements in administrative work.pdf
Divorce agreements in administrative work.pdfoganekyokoi
 

Kürzlich hochgeladen (9)

Establishment and operation of medical corporations.pdf
Establishment and operation of medical corporations.pdfEstablishment and operation of medical corporations.pdf
Establishment and operation of medical corporations.pdf
 
The first time I used CANVA to create a slide document.
The first time I used CANVA to create a slide document.The first time I used CANVA to create a slide document.
The first time I used CANVA to create a slide document.
 
What I did before opening my business..pdf
What I did before opening my business..pdfWhat I did before opening my business..pdf
What I did before opening my business..pdf
 
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント
3年前期 交通基盤工学 第一回 ガイダンス 交通基盤工学の概要  パワーポイント
 
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhr
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhrKARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhr
KARAPATANG PANTAO.pptxhrhrhrhrhrhrhrhrhr
 
International Politics I - Lecture 1
International Politics I - Lecture 1International Politics I - Lecture 1
International Politics I - Lecture 1
 
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...
レポートの書き方講座 [大学生初年次向けに対する講義資料] Lecture on how to write a report [lecture mater...
 
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...
Registration of travel agents - 'Explanation of the registration system under...
 
Divorce agreements in administrative work.pdf
Divorce agreements in administrative work.pdfDivorce agreements in administrative work.pdf
Divorce agreements in administrative work.pdf
 

Pisa2015の結果と考察 (Results and Review of PISA 2015)

  • 2. 1. PISA2015の結果 ◦ 世界的な傾向-成績と公正さ ◦ 調査方法の主な変更点 ◦ 日本の成績と公正さ 2. PISA2015とTIMSSからみる日本への示唆 3. PISAはどこに向かうのか 2
  • 3. 3 PISA運営理事会 PISA Governing Board(PGB) 調査参加国の代表で構成 OECD事務局 ETS 全体マネジメント /監督 技術諮問委 員会 各分野国際 専門委員会 質問調査専 門委員会 主な国際請負機関(Int’l Contractors, “PISA Consortium”) Pearson フレーム ワーク担 当 Westat 調査運営 /サンプリ ング担当 DIPF 質問紙調 査担当 各国調査責任者 National Project Manager (NPM) 国立教育政 策研究所 文部科学省 都道府県・政令指定都市教育委員会等 高等学校・中等教育学校後期課程・高等専門学校 ETS アイテム開発 /得点化・分 析/電子プ ラットフォーム 担当 出典: 文部科学省, PISA2015年調査 パンフレット;OECD, PISA 2015 Results Volume 1, p.484より林作成  2000年開始、3年に一度  読解力、数学的リテラシー、 科学的リテラシーの3分野 (+問題解決力などの革 新分野)  運営体制:右図  運営費: OECD-年間約 20億円、うち日本の分担 金約1億円  国内調査はすべて自国の 負担  全データ公開 ◦ 公開―結果の報告書2冊、 アセスメントの枠組み ◦ 今後-結果の報告書3冊、 テクニカル・レポート、データ PISAとは
  • 4.
  • 6. Japan(37,538) y = 44.24ln(x) + 319.29 R² = 0.36 325 350 375 400 425 450 475 500 525 550 575 4 8 16 32 64 128 Sci. Score Per capita GDP (in thousand USD converted using PPPs)(logarithmic scale) 6Source: OECD, PISA 2015 Database, Table I.2.11.
  • 7. 7 Austria Chinese Taipei 46,000 USD Estonia 66,000 USD Japan Norway Switzerland y = 52.96ln(x) + 254.67 R² = 0.54 325 350 375 400 425 450 475 500 525 550 575 8 16 32 64 128 256 Sci. Score Expenditure on students from age 6 to 15 (cumulative expenditure; in thousand USD converted using PPPs) (in logarithmic scale) Source: OECD, PISA 2015 Database, Table I.2.11.
  • 8. 8 Lithuania Hungary Costa Rica Chinese Taipei Chile Brazil Turkey Uruguay Bulgaria Mexico Thailand Montenegro Colombia Dominican Republic Peru Georgia Luxembourg Switzerland Norway Austria Singapore United States United Kingdom Malta Sweden Belgium Iceland Denmark Finland NetherlandsCanada Japan Slovenia Australia Germany Ireland France Italy Portugal New Zealand Korea Spain Poland Israel Estonia Czech Republic Latvia Slovak Republic Russia Croatia R² = 0.41 R² = 0.01 325 375 425 475 525 575 0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 Average spending per student from the age of 6 to 15 (in thousands USD, PPP) Countries/economies whose cumulative expenditure per student in 2013 was less than USD 50 000 Countries/economies whose cumulative expenditure per student in 2013 was USD 50 000 or more Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.6.2. 50,000 USD
  • 9. 9 78.8 47 43.8 41.3 28.4 0 20 40 60 80 100 生徒の社会経済的背景 適応型授業指標 教師主導型授業指標 学校の社会経済的背景 科学の授業での規律風土指標 -85.9 -66.1 -50.9 -44 -42.3 -100 -80 -60 -40 -20 0 留年経験 フィードバック受容指標 放課後の学習時間 女子生徒 探究型授業指標 Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.7.2. Level of confidence that a relationship exist (z-scores) 成績と正の相関 成績と負の相関
  • 10.  科学では男子が女子より好成績 ◦ ジェンダーによる成績差は科学で男子が4点高く、数学では男子が 8点、読解力は女子が27点高い。数学と読解力の成績差は縮小  移民背景をもつ生徒が増加 ◦ 2006年から2015年にかけて9.4%から12.5%に ◦ 移民背景をもつ生徒の低成績傾向はやや改善(2006年から6ポイ ント改善し、19点差に(ESCS, 家庭言語補正後))  OECD諸国の生徒の成績の約12.9%は社会経済的背景 によって説明される(日本は10%) ◦ 社会経済的に不利な立場は学校でのリソース不足、授業時間の不 足と密接に関連し、留年や進路(職業プログラムへの入学)に影響 している。 10
  • 11.  コンピュータを利用した調査(CBA)に全面移行 ◦ これまでの調査との同一性を確保したとOECDは主張 ◦ 大問を解き終えると前の問題に戻れない、といった仕様上の 制限 ◦ キーボード入力に伴う漢字使用者の不利 ◦ 表語文字のフォントサイズの問題 ◦ シミュレーションを用いた探究課題が可能に ◦ 各生徒・各問題の回答時間などの背景データが収集可能に  アイテム構成の修正 1. アセスメント・デザインの変更 2. 較正(calibration)サンプルの変更 3. 共通問題数の増加 11
  • 12.  得点化方法の変更  地域ごとに異なる事情をより正確に反映し、比較可能 にするために、より複雑な処理モデルを採用 1. 1パラメータIRT(項目反応理論)モデルと2パラメータとの 「ハイブリッド」モデルに変更 2. 国際パラメーターからの逸脱を一部容認 3. 未回答の問題の扱い(scoring, scaling)を変更  過去の得点との比較可能性が若干損なわれた ◦ 科学- コロンビア 399点(2012)→416点(2015) ◦ 読解- 韓国 22点↘→9点↘ ◦ 数学- 台北 18点↘→3点↘ ベトナム 17点↘→4点↘ 12
  • 13. 13 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 ゆと り 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生きる力 2006 平18 小1 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生きる力 2007 平19 小2 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生きる力 2008 平20 小3 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆとり 2009 平21 小4 個性 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆ とり 脱ゆとり 2010 平22 小5 個性 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆとり 2011 平23 小6 個性 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆとり 2012 平24 中1 個性 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆとり 2013 平25 中2 個性 個性 個性 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 生き る力 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆ とり 脱ゆとり 2014 平26 中3 2000 2003 2006 2009 2012 2015 平成27年 高1 全面実施 (2011年) 移行措置・先行実施 (2009年) 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 中曽 根 大森 町 村 遠山 河村 中山 小坂 伊吹 渡海 鈴 木 塩谷 川端 高木 中 川 平野 田 中 下村 馳 教育基本法改正 (2006年) 出典: 林作成
  • 14. 14 550 548 531 539 547 538 522 498 498 520 538 516 557 534 523 529 536 532 470 480 490 500 510 520 530 540 550 560 570 2000年 2003年 2006年 2009年 2012年 2015年 科学的リテラシー 科学的リテラシー(2015) 読解力 読解力(2015) 数学的リテラシー 数学的リテラシー(2015) Source: OECD, PISA 2015 Database, Table A5.3, A5.4, A5.5, etc..
  • 15.  シンガポールに次ぎ、OECD諸国でトップの平均点  科学-成績上位者(Lv.5&Lv.6)が15.3%(OECD- 7.7%) 15 0% 1% 2% 5% 8% 16% 18% 25% 28% 27% 29% 19% 13% 7% 2% 1% 日本 OECD Below Level 1b Level 1b Level 1a Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6 Source: OECD, PISA 2000 Database, Table 2.a, PISA 2003 Database, Table 2.1a, 6.1, PISA 2006 Database, Table 2.1a, 6.1a, 6.2a, PISA 2009 Database, Table I.2.1, I.3.1, I.3.4, PISA 2012 Database, Table I.2.1a, I.4.1a, I.5.1a, PISA 2015 Database, Table I.2.1a. 0 10 20 30 40 Below Level 1/1b Level 1b Level 1a Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6 科学的リテラシー 2006 2009 2012 2015 0 10 20 30 Below Level 1 Level 1 Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6 数学的リテラシー 2003 2006 2009 2012 2015 0 10 20 30 40 Below Level 1/1b Level 1b Level 1a Level 2 Level 3 Level 4 Level 5 Level 6 読解力 2000 2003 2006 2009 2012 2015
  • 16.  読解力はPISA2015の中心分野ではない  読解力は他の分野に比べて振れ幅が大きい ◦ OECD加盟国のうち、当初からPISAに参加している24か国の得点差 の合計(変動幅)は科学で562点(2006-2015)、読解力で656点 (2000-2009)、数学で526点(2003-2012)  前回調査からの読解力の成績低下は統計的に有意 ◦ 下落したのか、戻ったのか  CBAは初めて全面実施、問題は過去と共通  PISAは相関しか示せず、因果は説明できない ◦ PISAのデータ単独では読解力低下の要因を説明できない  読解力をより立体的に分析するために ◦ ex. IEA-PIRLS(国際読書力調査)に参加するなど ◦ 調査の組合せ・追跡可能にするなど、関連調査を計画的に実施 ◦ 大規模国際アセスメントに戦略的に参加、分析・活用を促す仕組みを  大規模国際アセスメントの目的と限界を正しく理解し、長期的な 視点に立った政策立案につながることを期待 16
  • 17. 17 Japan OECD Average 370 390 410 430 450 470 490 510 530 550 570 0.05.010.015.020.025.0 科学的リテラシーの得点 社会文化経済的背景によって説明される科学的リテラシーの得点の散らばり 2006年に比べて成績向上、公正さ低下 公正さ良好 成 績 良 好 Source: OECD, PISA 2006 Table 4.4a, PISA 2015 Database, Table I.6.17.より林作成 成功している教育制度(Successful School System) ①成績がOECD平均以上 ②社会経済的背景が成績に与える影響がOECD平均以下 第1象限
  • 18.
  • 19. 19 80 63 18 28 2 9 0% 20% 40% 60% 80% 100% 2015 2011 Percentage of the Student who reported the Bullying at School, 8th Grade Almost Never About Monthly About Weekly 585 570 488 495 596 576 478 484 434 433 400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 Mathematics Science Mathematics Science Japan Int'l Avg. Student Performance and the Bullying at School, 8th Grade Almost Never About Monthly About Weekly Source: IEA, TIMSS 2006, Mathematics Exhibit 6.12, Science Exhibit 6.12, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 7.6, Science Exhibit 7.6. より林作成 この学年になって、学校で、次のようなことがどのくらいありましたか。 (メールやインターネットを含みます) 1) 私はからかわれたり、悪口を言われた 2) 私は何かをするときに、仲間はずれにされた 3) だれかが私について、うそを言いふらした 4) 私のものが盗まれた 5) 私は他の生徒から危害を加えられた(おす、たたく、ける、など) 6) 私はやりたくないことを他の生徒にやらされた 7) 私の恥ずかしい情報をさらされた (2015追加) 8) 脅された (2015追加)
  • 20. 20 Mexico Dominican Republic Colombia Montenegro Turkey Thailand Peru Bulgaria Georgia FYROM Qatar Hong Kong (China) United Arab Emirates GermanyKorea Spain Netherlands Japan Portugal Canada Singapore Denmark Australia New Zealand Chile Malta Luxembourg Ireland Finland Chinese Taipei Austria Italy Poland United States France Greece Sweden Hungary Uruguay Israel Macao (China) Norway Czech Republic Slovak Republic Lithuania 300 350 400 450 500 550 600 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200 220 240 260 Scienceperformance(scorepoints) Teachers' salaries relative to per capita GDP (%) Countries'/Economies' per capita GDP less than USD 20 000 Countries'/Economies' per capita GDP over USD 20 000 Source: OECD, PISA 2015 Database, Figure II.6.7.
  • 21. 21 19 49 61 42 20 9 0% 20% 40% 60% 80% 100% Japan Int'l Avg. Student Share of Teacher Job Satisfaction Scale (8th Grade, Science) Very Satisfied Satisfied Less than Satisfied Source: IEA, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 6.7, Science Exhibit 6.7より林作成 583 580 486 492 588 570 478 483 585 563 480 478 400 420 440 460 480 500 520 540 560 580 600 Mathematics Science Mathematics Science Japan Int'l Avg. Student Performance and the Teacher Job Satisfaction, 8th Grade Very Satisfied Satisfied Less than Satisfied あなたは、次のことについてどう思いますか。 1) 私は教師という職業に満足している 2) 私はこの学校で教師をしていることに満足している 3) 私は教師として重要な職務を行っている 4) 私は自分の仕事に熱意がある 5) 私の仕事は刺激的だと思う 6) 自分の仕事に誇りを感じる 7) 私はできる限り教師であり続けたいと思う
  • 22. 22 580 568 477 486 587 577 480 486 586 578 483 487 589 569 484 487 450 470 490 510 530 550 570 590 610 Mathematics Science Mathematics Science Japan Int'l Avg. Student Performance and Teachers’ Years of Experience (8th Grade) Less than 5 Years At Least 5 but Less than 10 Years At Least 10 but Less than 20 Years 20 Years or More Source: IEA, TIMSS 2015, Mathematics Exhibit 8.6, Science Exhibit 8.6より林作成 あなたの教職経験年数は、今年度末までで、何年ですか。 (およその年数を最も近い整数で記入してください。)
  • 23.
  • 25. 25 14 11 22 33 27 0 10 20 30 40 50 60 70 80 2000 2003 2006 2009 2012 PISAの参加国数 Others Developing countries Developed countries PISA for Development -PISAを用いた政策立案を支援 Cambodia, Ecuador, Guatemala, Honduras, Panama, Paraguay, Senegal, Tanzania, Zambia 0 10 20 30 40 50 60 70 80 1970s 1980s 1990s 2000s 大規模国際アセスメントへの低・中所得国の参加 (%) (Modified from Lockheed, 2013) https://www.oecd.org/pisa/aboutpisa/pisafordevelopment-documentation-briefs.htm
  • 26. 0 20000 40000 60000 80000 100000 350 400 450 500 550 600 GDPpercapitainUSD2012 PISA 2012 Math Score Singapore Australia Germany 輸入国 輸出国 Netherlands PISAに不参加 金持ち PISA好成績 出典: 林寛平「グローバル教育政策市場を通じた『教育のヘゲモニー』の形成―教育研究所の対外戦略をめぐる 構造的問題の分析―」日本教育行政学会編『日本教育行政学会年報』No.42, 2016, pp.147-163. 26
  • 27.  PISA-based Test for Schools  15歳の読解、数学、科学について、PISAスケールに 基づいて分析し、記述したレポートを提供  生徒の成績に関係した学校外の要素(社会経済的背 景や態度、学習への関心など)に関する質問紙調査も 提供する  計141アイテム、2時間のテストと30分の質問紙  学校は数百万円を負担する代わりに、学校の環境に 合わせたレポートが受け取れる  すでにスペイン、イギリス、アメリカで実施されている  ブルネイ、モスクワ等でも開発中 https://www.oecd.org/pisa/aboutpisa/pisa-based-test-for-schools.htm 27
  • 28.  費用効果分析を用いたコンサルティング 施策A 全国で20人学級を実現するためのコストは年間4208億円 施策B iPadを全国の中学生にひとり1台配るためのコストは年間628億円 ①教育の費用効果分析によると  施策A 20人学級で成績が10点(仮)上がる →1点当たり421億円  施策B iPadひとり一台で成績が2点(仮)上がる→1点当たり314億円 →施策Bの方が費用効果が高いことが分かる ②比較費用効果分析に展開すると  ハンガリーの教員給与は日本の約3分の1  iPadは一台あたりは日本と同額の約5万円 →各国の条件によって最適解が異なる 28
  • 29. <カテゴリー1> 道具を相互作用的に用いる A 言語、シンボル、テクストを相互作用的に用いる B 知識や情報を相互作用的に用いる C テクノロジーを相互作用的に用いる <カテゴリー2> 異質な人々からなる集団で 相互に関わりあう A 他者とよい関係を築く B チームを組んで協同し、仕事する C 対立を調整し、解決する <カテゴリー3> 自律的に行動する A 大きな展望の中で行動する B 人生計画や個人的プロジェクトを設計し、実行する C 権利、利害、限界、ニーズを擁護し、主張する Definition and Selection of Competencies, DeSeCo Education 2030 Framework (DeSeCo 2.0) OECD, Global competency for an inclusive world, 2016, p.2.
  • 30.  PISA2018: ◦ 読解力が中心分野 ◦ 81カ国・地域以上が参加予定 ◦ グローバル・コンピテンシーも測定 ご清聴ありがとうございました

Hinweis der Redaktion

  1. 信州大学の林寛平です。本日は12月6日に公表されたPISA2015の結果と考察を報告します。 みなさんご存じのことと思いますが、PISAは15歳を対象に、世界72か国・地域から約54万人が参加しています。
  2. 本日お話しする内容は主に3つあります。 はじめに、PISA2015の結果について、世界的な傾向、調査方法の変更点と日本の結果についてお話しします。 つぎに、PISAとTIMSSの結果を使いながら最近の教育政策を検討します。 最後に、PISAをとりまく環境の変化と、今後のPISAの在り方について問題提起をしたいと思います。
  3. PISAは2000年以降、3年に一度、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野を継続的に測定しています。6回目の2015年は科学が中心分野でした。 運営体制は右の図のようになっています。トップにはPISA Governing Boardがあります。これは参加国の代表で構成される議決組織です。 PGBの下にOECD事務局があり、その下には各国から選ばれる調査責任者がいます。日本では、国立教育政策研究所の大野彰子さんがこの役を務めています。責任者のマネジメントの下、国、地方自治体と学校によって国内調査が実施されます。 OECD事務局と調査責任者との間には、PISA Consortiumと呼ばれる国際請負機関が入っています。PISA Consortiumには民間企業や教育研究所が複数参加し、技術的な支援を行います。 OECDのPISA事業費は年間20億円程度で、日本はこのうち1億円程度を拠出しています。また、国内での調査費用はすべて自国で負担することになっています。 報道ではランキングが取り上げられることが多いPISAですが、調査の主な目的は比較を通じて政策や実践に示唆を与えることにあります。高いパフォーマンスをあげている国、急速に向上している国の特徴を分析し、政策目標を設定する参考にしたり、学力動向を継続的にモニターすることで教育改革の進捗を確認することができます。 PISAはすべてのデータが公開されることが特徴ですが、2015年調査に関しては、結果の報告書が5冊中の2冊と、アセスメントの枠組みに関する報告書が公表されています。残り3冊の報告書とテクニカル・レポート、個別のデータ・セットについては今後公表される予定です。
  4. それではまず、世界的な傾向についてお話しします。 今回の調査で示された世界的な傾向として、アジア諸国の好成績があげられます。成績上位国の特徴は社会経済的背景による成績への影響が少なく、レジリエントな生徒の割合が大きいことにあります。 「レジリエント」は「逆境に打ち克つ」という意味で、社会経済文化的背景が全体の下位25%以下に位置する生徒のうち、上位25%以上の成績を収めている生徒を指します。 レジリエントな生徒の割合は2006年調査に比べて1.5%増加し、29%になりました。公正さの向上に寄与することは、教育の質の向上と並んで教育インディケーター事業の重要な柱となっています。 また、科学的リテラシーの基礎的習熟度に達している生徒の割合は79%に向上しました。
  5. PISAの成績は一般に各国の経済状態と相関があることが知られています。ご覧の図は、左から右に向かって国民一人当たりGDPが増えていき、下から上に向かって科学的リテラシーの成績が高くなっています。今回の調査でも、科学的リテラシーの得点と国民一人当たりGDPとの間に36%の相関が見られました。
  6. GDPが高くても、それがそのまま教育に投資されるとは限りません。この図は、左から右に向かって教育費支出が増えていき、下から上に向かって科学の成績が高くなっていきます。科学の成績について、教育費支出は先ほどのGDPよりも直接的な相関が見られます。日本は人口規模が大きいため、教育への公的支出の対GDP比が小さいことが知られていますが、私費負担も含めた生徒一人当たりの支出額は高く、相関に従って科学の成績も上位に位置しています。また、エストニアや台北はそれぞれ66,000ドルと46,000ドルを支出していますが、その倍以上を支出しているオーストリアやノルウェー、スイスよりも好成績をあげています。
  7. ただし、先進国が投資を増やせば成績が上がるかというと、それほど単純ではありません。生徒一人当たりの教育費支出が小さい国では、その額を増やすことで成績が上がることが期待できます。しかし、一人当たりの教育費支出が50,000ドルを超えると、成績との相関はなくなります。この図からは、教育発展が段階に分けられることが示唆されています。学校教育が普及している先進国では、教育費を、何に、どう使うかが問題になります。
  8. 成績がいい国にはどのような特徴があるのでしょうか。 左の青いグラフは成績と正の相関、右の赤いグラフは負の相関がある諸要素を並べてあります。成績ともっとも関係が強いのは、社会経済的背景です。社会経済的に不利な立場にいる生徒は、学校でのリソース不足や授業時間の不足に遭遇しやすく、留年したり、進路の選択肢が狭まったりすることで社会的に弱い立場に置かれる可能性が高いことが示唆されています。 授業の仕方についてもいくつかのヒントが示されています。生徒に応じた適応型の授業(Adaptive Instruction)や教師主導型の授業は成績と正の相関があります。一方で、探求型の授業は成績と負の相関があります。これは、探求型の授業をすると成績が下がるという意味ではなく、成績が低い国においてこのようなタイプの授業が多く行われているという解釈になります。
  9. 成績と並んで重要な視点が公正さです。科学では男子が女子よりも4点高い成績を上げています。数学では2003年の17点から今回の8点に差が縮まっています。読解力では、女子の方が成績が高い傾向にありますが、2009年の39点差が、今回は27点差に縮小しています。 次に移民背景についてです。2015年は、1月にOECD本部があるパリでシャルリー・エブド事件が起こり、春からは欧州難民危機と呼ばれる事態が発生しました。今回の調査でも、移民背景を持つ生徒が増加し始めている様子が現れています。移民背景を持つ生徒は成績が低い傾向がありますが、2006年と比較すると成績差は改善されています。 また、日本でも「子供の貧困」が大きな注目を集めていますが、科学の成績の約12.9%は社会経済的背景によって説明されます。
  10. 日本の成績に行く前に、今回の主な変更点を確認したいと思います。 PISA2015では、コンピュータを利用した調査に全面的に移行しました。この移行に先立って、すべての参加国で検証を行い、これまでの調査との同一性を確保したとOECDは主張しています。 しかし、大問を解き終えると前の問題に戻れない、といった仕様上の制限や、キーボード入力に伴う漢字使用者の不利、フォントサイズが小さく問題が読みづらい、といった課題も指摘されています。 一方で、CBAの導入により、シミュレーションを用いた探究課題が出題可能になったほか、各生徒・各問題の回答時間などの背景データが収集できるようになりました。 また、アセスメントの不確実性を減らすために、以下の3つの改善が施されています。 一つ目はアセスメント・デザインの変更です。たとえば、ある問題をテストの最初に出すか、最後に出すかによって、同じ問題であっても反応は異なってきます。そのため、問題の順番を入れ替えて出題するなどの工夫が施されています。 二つ目はカリブレーション・サンプルの変更です。新たに追加された問題の難易度を評価する方法が変わり、精度が上がりました。 三つ目は共通問題数の変更です。経年での変化を見るために、各回で共通の問題を入れていますが、今回はその数を大幅に増やしました。
  11. これらの変更に加えて、以下の3つの変更点があります。 これまで1パラメーターのIRT(項目反応理論)モデルを用いてきましたが、今回は2パラメーターとの「ハイブリッド」モデルを用いています。これは、これまでのトレンド・アイテムを引き続き活用しつつ、得点化処理により柔軟に対応するための措置です。 テスト・アイテムを各国語に翻訳する際には、妥当性が問題になります。同じ単語でも、地域によって異なった意味や機能を持つことがあるため、難易度に影響すると考えられます。これまでの調査では全参加国共通のパラメーターを用いてきましたが、今回からは限られた数ではあるものの、国際パラメーターからの国と調査単位での逸脱が認められるようになりました。 最後に、未回答の問題の扱いについてです。これまでの調査では、未回答の問題は採点(scoring)の際には「不正解」として扱い、得点化(scaling)の際には登録しないという扱いをしてきましたが、今回からはいずれも登録しない扱いに変更になりました。これにより、時間内にすべての問題を解き終えるために、適当に回答した場合には有利にならなくなりました。一方で、前半の問題に時間をかけて回答し、最後まで解き終わらないものの、正答率が高い場合には、全体の得点に高く反映されるという問題が生じています。 以上のような方式の変更によって、これまでの調査と今回の得点の比較可能性は若干損なわれています。 例えば、科学の場合、コロンビアの平均点は前回の399点から416点に伸びていますが、そのほとんどが方式変更によるものです。 読解については、韓国が22点低下と報告されていますが、これにはこの変更による変化が含まれます。PISA2015の方式で過去の成績を計算しなおすと、2009年からの低下は9点にとどまります。 数学では、台北とベトナムがそれぞれ18点と17点低下していますが、そのほとんどはこの変更によるものです。今回の方式で計算すると、その変化はそれぞれ3点と4点の下落にとどまります。
  12. さて、ここからは日本の成績について見ていきたいと思います。 まずは対象についてです。PISAの対象年齢は15歳ですが、日本では、高校、中等教育学校後期課程、高専の1年生のうち、198校から約6600人が調査に参加しました。調査は2015年6月から7月にかけて実施されました。 PISA2015を受けた生徒は2006年に小学校に入学し、3年生までは前の指導要領で授業を受けています。4年生になるときに現指導要領への移行措置が始まり、総則と道徳については直ちに実施され、算数と理科は教材が整い次第、新課程の一部内容を前倒しして実施されました。これに伴い、小学校では授業時数が各学年で週1コマ増えました。また、小学校6年生になるときには現指導要領が全面実施になりました。この間の社会の動きとしては、2007年に初代iPhoneが発表され、2008年にはリーマンショック、2011年には東日本大震災が発生するなど、激動の時代を過ごしています。政治的には、2006年12月に教育基本法が改正されました。また、下の表にあるように、2012年12月から2015年10月までの3年弱、下村博文氏が文部科学大臣として在任しており、2000年以降で最も安定的に教育行政が執行された時期とみなすことができます。
  13. すでに報道されているように、日本は科学と数学において、引き続き世界トップレベルの成績を維持しています。読解力は低下し、2000年、2009年調査と同程度の成績となりました。細く薄い線は得点化方式の変更に伴って、2015年モデルで算出した過去の調査の較正値です。
  14. 成績分布は上の図のようになります。科学では今回からレベル1が分割され、1a, 1bの区分が設けられました。OECD全体では、基礎的習熟度に達していないレベル1以下の生徒は22%いると評価されています。また、上位層であるレベル5とレベル6はそれぞれ7%、1%となっています。これに対して、日本は基礎的習熟度に達していない生徒は10%程度となっています。また、上位層の生徒は合わせて15%程度と評価されています。 緑色のグラフ、読解力の成績分布では、レベル4以上の生徒が減り、レベル3以下の生徒が増えています。赤色のグラフ、数学ではレベル5以上の生徒が減り、レベル4以下の生徒が増えていますが、レベル1未満の生徒は減っています。
  15. さて、今回の公表を受けて、読解力に注目が集まっていますが、PISAの結果から何が言えるかを考えてみたいと思います。 まず、今回は科学が中心分野した。前回も数学が中心でしたので、読解力を比較するのであれば2009年を基準にする方が妥当です。 また、全体的に読解力の成績は振れ幅が大きいという特徴があります。4回分の点数の振れ幅を合計すると、科学では562点、読解力では656点、数学では526点となり、相対的に読解力の変動幅が大きいことがわかります。 しかし、今回の日本の読解力の成績低下は明らかです。これを前回からの下落とみるか、2000年、2009年の値に戻ったと捉えるかは評価が分かれるところです。 調査担当者の説明等も報道されていますが、CBAの導入に伴って調査方法が変更されています。読解力の問題は過去に使った問題と共通のものを出題していますが、調査方法の変更による影響はテクニカル・レポートが公表された後に更なる検証が求められます。 PISAをモニタリングの機能としてみると、成績が下がったことは事実としても、PISAのデータは相関しか示さず、その理由は説明できません。成績の高い子がおにぎりを食べているからと言って、おにぎりを食べれば成績が上がるわけではありません。そのため、PISAのデータ単独では読解力低下の要因を説明することはできません。 読解力をより立体的に分析しようとするときには、他の大規模国際アセスメント、たとえばIEAが行っているPIRLS等に参加して結果を相対化する方法もあります。ただ、大規模国際アセスメントには多額のコストがかかる上、弊害も指摘されています。 現状のリソースを活用する方向で考えると、国内で行われている他の調査を組み合わせたり、対象者を追跡可能な設計するなど、関連調査を計画的に実施する必要があります。 そのような視点から考えると、日本の現状では、PISA, PIAAC, TALIS, AHELO, TIMSS等を国立教育政策所内の別々の部署が担当していますが、これらを束ねるリーダーシップと戦略性に加えて、広く研究者の知見を集め、分析や活用を促す仕組みづくり必要だと思います。 今回、読解力に注目が集まっていますが、成績低下の犯人捜しで終わるのではなく、大規模国際アセスメントの目的と限界を正しく理解し、長期的な視点に立った政策立案につながることを期待しています。
  16. 日本における公正さの動向についても見てみましょう。この図では、下から上に向かって成績が高く、左から右に向かって公正さが良好な配置になっています。 OECDは「成功している教育制度(successful school system)」を①成績がOECD平均以上で②社会経済的背景が成績に与える影響がOECD平均以下の国、と定義しています。右上の第1象限が「成功している教育制度」になりますが、日本はこの定義に当てはまります。OECD平均でみると、2006年から2015年にかけて成績は500点から493点へと低下しましたが、公正さについては向上しています。一方で日本は逆のベクトルを示していて、成績が531点から538点へと向上しましたが、公正さについては7.4から10.1へと低下しています。ただし、この差分については統計的に明確な変化とは言えません。
  17. ここからはPISAとTIMSSの結果を使いながら最近の教育政策を検討したいと思います。
  18. 文部科学省は「いじめなど、児童生徒を取り巻く課題の複雑化・多様化」に対応するために、教職員定数の充実を求め、財務省との攻防が続いています。 今回のTIMSSでは、いじめを受けていると感じる生徒の割合が劇的に減りました。左の図は2011年調査と2015年調査で、中学2年生から得た回答です。青い部分にあるように、いじめが「ほとんどまったくない」と答えた生徒は63%から80%に増加しました。一方で、緑の部分にあるように、2011年では28%の生徒が「月に1回か2回」いじめに関する経験をしていましたが、2015年には18%に減っています。同様に、オレンジの部分にあるように、「少なくとも週1回」と答えた生徒は9%から2%に減っています。ただし、この結果を解釈する際には、2015年調査において質問が2問追加された影響も考慮する必要があります。 次に、右の図を見て下さい。TIMSSの結果で興味深いのは、成績との相関を見ると、いじめを受けたことが「ほとんどまったくない」と答えた生徒よりも、「月に1回か2回」いじめに関する経験をしている生徒の方が成績が高いことです。この傾向は前回調査でも同様に示されています。 国際的には、いじめの有無と成績は負の相関があります。
  19. 教員給与と科学の成績の間には統計的に有意な相関は見られませんでした。OECDの報告書では、教員の質といった他の要素の方が生徒の成績とより密接にかかわっているのではないかと述べられています。 政策へのインプリケーションを探るために、今回の調査では、教員の褒賞制度も調べています。日本には優秀教員を表彰したり、マイスターとして認定し、給与面での恩恵を与えたりする制度は一般的ではありませんが、中東諸国をはじめ、多くの国で採り入れられています。しかし、全体のリソースが限られていると考えると、優秀教員に高い給与を支給すると他の教員の給与が減ることになり、教員不足とのトレードオフの関係に陥ることになります。
  20. OECDのTALIS調査では、日本の中学校教員の労働時間が世界で最も長いことが明らかになりましたが、今回のTIMSSでは、中学校教員の職業満足度が最下位という結果が示されました。左の図の青い部分は「とても満足している」教員に教わる生徒の割合ですが、国際平均が49%に対して、日本はわずか19%となっています。一方、オレンジの部分にあるように、「満足していない」教員に教わる生徒の割合は国際平均の倍以上になります。 右の図では、「とても満足している」「満足している」「満足していない」と回答した教員に教わる生徒の成績を比較しています。科学においては、教員の満足度と成績は正の相関が見られます。一方で、日本の数学では、「とても満足している」教員に教わる生徒の成績はもっとも低くなっています。国際平均と比べると、その傾向は真逆であることが分かります。
  21. 一般に、教師は年とともに職能が上がると考えられています。また、勤続年数に伴って賃金が上昇する年功序列制度が採用されています。しかし、TIMSSの結果は教師の熟達モデルに疑問を投げかけています。 この棒グラフでは、青が教職経験5年未満、緑が5年から10年、オレンジが10年から20年、灰が20年以上となっていて、それぞれの教員に教わる生徒の成績を並べています。左の二つが日本ですが、数学については新人教員に教わる生徒の成績がもっとも低くなっています。一方科学では、中堅教員に教わる生徒の成績は高く、20年以上の教員に教わる生徒の成績はと新人教員のそれと同程度になっています。中堅教員が世代的にハイスペックなのか、ベテラン教員が諦めているのか、優秀な教員から管理職に登用されているのか、理由は様々に考えられます。先月18日に可決・成立した教員養成関連3法では、都道府県教育委員会等に「教員育成指標」の策定を義務付けましたが、効果の高い仕組みにするためにも、現状を多角的に分析することが求められます。
  22. ここまで、PISAおよびTIMSSの結果について報告しました。 最後に、こうした大規模国際アセスメントがどのような方向に進んでいくのかについて、少し視野を広げて話題提供をしたいと思います。
  23. PISAは当初から数多くの批判に晒されてきましたが、今回の調査では、これまでにない強い抵抗がありました。2014年には英米を中心とする100名近い教育学者らがPISAの中止を求める公開書簡をOECDに送りました。 その内容は、PISAは教育政策を近視眼的にし、世界中の教育にネガティブな影響を与えている、と懸念したものでした。 かねてより教育学者の間では、PISAが各国の競争を煽る一方で、グローバル化と標準化を促すことで世界の教育政策を似通ったものにしているという批判がありましたが、2015年調査の中止運動は具体的なアクションとして大きな波紋を広げました。 OECDのシュライヒャー局長はこれに対して、PISAが教育政策を近視眼的にしたと示唆する証拠は何もないし、むしろ国際比較によって幅広い政策手段を開いていると反論しています。
  24. PISAのような大規模国際アセスメントが途上国を巻き込んでいるという側面もあります。大規模国際アセスメントは1964年に行われたFIMS(第1回国際数学教育調査)が最も初期のもので、当初は先進国の参加が主でしたが、2000年代には8割弱の途上国が参加するようになりました。 PISAはOECDという先進国側の組織によって運営されていますが、参加国の大きな割合を途上国が占めています。 途上国の参加を任意とみなすこともできますが、OECDはPISA for Developmentというプロジェクトを通じてコロンビア、エクアドル、グアテマラなどの国々でPISAを用いた政策立案を支援しており、積極的に巻き込んでいると見ることもできます。
  25. PISA Consortiumに加わるオーストラリアのACER、オランダのCito、ドイツのDIPFといった機関は、それぞれ政府系の教育研究所ですが、アセスメントのノウハウを海外に提供しています。 また、フィンランドやシンガポール、日本といったPISAで好成績をあげる国では、教育をブランド化し、国外に輸出する動きもみられるようになってきました。 それぞれのアクターの活動は配慮に満ちた健全なものですが、全体としては「教育のヘゲモニー」ともいえる構造的な問題を生み出しています。 例として、アセスメントのノウハウを取引する際の問題について考えてみます。 図にあるように、この取引は学力の優位な国がノウハウを提供する見返りとして、経済的に不利な国に対価を要求する構造になっていて、教育成果と経済資源の交換が行われています。 この交換は、一面では、需給関係に基づいて合理的な合意が形成されているようにも見えます。 しかし、輸入国の多くはOECD加盟国ではないことからPISA Governing Boardでの発言権がなく、アセスメントの枠組み作りやコンピテンシーの定義と選択、教育成果の価値づけ等に影響を与えることができません。す なわち、取引される財が輸出国側によって一方的に値付けされていて、需給調整のルールが不公正な状態になっていると指摘できます。
  26. 日本ではPISAショック以降、全国学力・学習状況調査の実施や、地方自治体による独自の学力調査が導入されていますが、他国でも同様に標準化されたテストがより頻繁に実施されるようになっています。 このような動きへの批判は幅広くありますが、OECDはPISAを活用した学校レベルのアセスメント開発にも取り組んでいます。 PISA for Schoolと呼ばれるプロジェクトでは、希望する学校でPISAスケールに基づいたテストを行い、分析レポートを提供するサービスが始まっています。 すでにスペイン、イギリス、アメリカで実施され、ブルネイとモスクワでも計画されています。
  27. 大規模国際アセスメントのデータはコンサルティング・ビジネスの商材としても扱われます。 政策の効果と費用を比較することで、コストパフォーマンスの高い政策を推測することができます。 例えば、これはあくまでも仮の数字ですが、少人数学級にすると成績が10点上がり、iPadを1人1台配ると成績が2点上がることが分かっているとします。 少人数学級の実現には4208億円、iPadを全員に配るには628億円かかりますので、1点当たりのコストは少人数学級が421億円、iPadが314億円と試算され、iPadの方が費用効果が高いことになります。 また、例えばハンガリーのように、教員給与が低い国では、少人数学級の導入コストが低くなりますので、条件によって最適解が異なってきます。 このような分析を用いて、GEMS Internationals社などは各国政府にコンサルティングサービスを提供しています。
  28. PISAに対する批判として、当初より根強いのは、コンピテンシーの定義に対するものです。 OECDは1997年からDeSeCoプロジェクトを始め、現在のPISAの基盤になっていますが、2017年になろうという今、社会の状況は大きく変化し、過去の想定は見直しを迫られています。 そこで、2030年とその先に求められる資質・能力を再定義しようというプロジェクトが始まっています。 PISAはこの間、影響力の大きな事業に成長しましたが、今後も、小さな批判に丁寧に応えながら、教育の発展につながる最善の道を探してほしいと思います。 また、日本は教育先進国としての自負をもち、新しい枠組み作りに理性的かつ先導的な役割を担うことが期待されてます。
  29. 次回の調査は2018年に実施されます。読解力が中心分野となり、81か国以上の参加が見込まれています。また、革新分野としてグローバル・コンピテンシーの測定が行われます。 これで「PISA2015の結果と考察」の報告を終わります。ご清聴ありがとうございました。